恋愛感情と愛おしさは違う ページ3
「それで、なんのお話なさってたんですか?」
「…いや、なにも」
「男同士の密談ですか」
Aはプイッとそっぽを向いて拗ねてしまう。
だが、土方は今、それどころではない。
(いや、カワイイイイイイイ!!!!!!!!)
あくまで恋愛感情ではない。親戚の小さい子供が花畑で遊んでいるのを眺める感情。
「……それで、何の用だ?」
「あぁ、一通り仕事終わったので銭湯行ってきます」
真選組は男だらけなので勿論風呂も男湯しかない。
そんなところに放り込むわけにもいかず、銭湯に毎回浸かりに行ってる。
「…悪りぃな」
ぽつりと呟く土方の声が聞こえたのか聞こえなかったのか、Aはニッコリ微笑む。
「今日はお妙ちゃんと会う約束もしてるんです!今から楽しみで。あ、後、今夜はお妙ちゃんの家に泊まるつもりなんですけど、大丈夫ですか?ですよね?」
「あ、ああ」
「やったああああ!副長大好き!」
(尊い…でござる……)
土方の中のヘタレオタク人格・トッシーが解き放たれそうになる程とんでもない威力を発するA。
「それじゃ、行ってきます」
「おぅ、最近辻斬りが多いから気をつけろよぉ」
スタスタとAは去ってしまう。
その艶やかな髪が揺れるのを見届けて、土方はそっとため息をついた。
Aは土方が連れ去ったも同然。
廃人寸前だった彼女に『真選組』という居場所を与える事で救おうとした。
確かにまっすぐな目になったが…
「あの女に惚れてるんですかぃ?」
「……お前か」
いつのまにか沖田がいた。
土方はタバコを一本取り出して火をつける。
「別にそういうわけじゃねぇ。ただ後ろめてぇだけだ」
「土方さんが誘拐したからでィ?」
「人聞き悪りぃこと言うな!引き取っただけだ!」
「……どんな過去があろうが興味なくてさァ。ただ」
アイツは真選組に必要かねィ?
「…なにを!」
「今まで誰も触れてこなかったんにはアンタも関係あると思うぜ、土方さん」
沖田の顔が見えづらい。夕日の逆光か。
「真選組は歌舞伎町の平和の為に戦うお巡りさんでさァ。いざという時に戦えねぇどころか守ってもらおうなんざ、足手纏い以外のなんでもねェ」
「……言うな」
「これはアンタの為でもあるんでィ、土方さん。屯所を襲撃されて、誰かを庇いながら戦うのはリスクが高すぎてさァ。土方さんのせいでアイツは死ぬ」
「……」
最も土方の恐れている事だった。
「アイツはもうこんなところに置けねぇ」
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猫毒(プロフ) - ☆さん» コメントありがとうございます!またテスト期間が再来しました…更新頑張ります! (2022年6月21日 16時) (レス) id: 406276a8fb (このIDを非表示/違反報告)
☆(プロフ) - うわああ…めちゃくちゃ好きです🤦♀️無理なさらず頑張ってください…!!応援してます! (2022年6月17日 9時) (レス) @page11 id: f76d03d4ec (このIDを非表示/違反報告)
猫毒(プロフ) - 観葉植物2号さん» コメントありがとうございます!!!レス遅くなってごめんなさい…一ヶ月ずっとニマニマしてたので忘れてました((更新頑張ります! (2022年5月24日 16時) (レス) @page11 id: 60e955f946 (このIDを非表示/違反報告)
観葉植物2号(プロフ) - 声出して思いっきり笑いましたwwギャグセンス高すぎるw これからも更新頑張ってください!!!! (2022年4月30日 0時) (レス) @page2 id: 9098365451 (このIDを非表示/違反報告)
猫毒(プロフ) - 休日はゆっくりするべしさん» コメントありがとうございます!ギャグセンスには自信が本当に0なので安心しました…!こんな作者でも、応援よろしくお願いします! (2022年4月18日 18時) (レス) @page7 id: 057b83dcbe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:猫毒 | 作成日時:2022年4月16日 12時