素人、侮るべからず ページ11
カンカンカカンカン
「おわっ」
思わず漏れた声に響く竹刀を撃ち合う音。
「______ッ、あっぶねぇ」
一度足を引いて銀時は竹刀を握り直す。
対面には、此方に隙を一切見せない紅の瞳。
白夜叉とも呼ばれた銀時は珍しく追い込まれていた。
「あのー、Aさん?そろそろ終わりにしません?ほらぁ、新八達帰ってっから八時間は経ってますし…」
言ったすぐそば、肩元に竹刀が走る。
咄嗟に避けてその先にまた竹刀。
「…でも…もっと……!」
その呟きに何か感じて、振り下ろされる竹刀を避けずに受け止める。
「…お前、焦ってんだろ」
「……!!」
わずかに見開かれる目と共に、竹刀に込められた力が少し弱くなる。
「もう夜だ、そのぐらいにしとけ」
「…馬鹿にすんな、まだ動ける」
乱暴に吐き捨てられる言葉。
だが、どう見てもその目の奥は動揺していた。
そこでグッと力を入れて、彼女の竹刀を叩き落とす。
カンカラカンカン。
彼女はゆっくりと屈んでそれを手に取る。
「…もう一本」
「やってらんねぇ。もう帰んぞ」
「ふざけんじゃねぇ。もう一本付き合え」
「今やったって仕方ねぇだろ。女なんだから限界はあんだよ」
その言葉に、明らかに彼女は怒りを閃いた。
「…女だから、…女だからと馬鹿にするな!」
「実際そうだろ」
「てめぇ…」
掴みかかってきたのを軽くあしらって
「そういうお前が一番女を馬鹿にしてんじゃねぇのか?」
「、は?」
本当に驚いたらしい。
目を真丸にして口を呆然と開けるその顔は年相応の可愛げがあった。
「今日はゆっくり寝て、頭を冷やせ。お前なら分かるだろ」
背を向けて手だけヒラヒラさせる銀時。
「何を偉そうに…!生涯万年貧乏な癖して…!」
背後から心底悔しそうな声が聞こえてきた。
「へいへい、どうせ俺は儲からない万事屋ですよー」
銀時は道場を出る。
暫くしてもAが一向に志村邸に顔を出さないのは誰の知ったことではなかった。
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猫毒(プロフ) - ☆さん» コメントありがとうございます!またテスト期間が再来しました…更新頑張ります! (2022年6月21日 16時) (レス) id: 406276a8fb (このIDを非表示/違反報告)
☆(プロフ) - うわああ…めちゃくちゃ好きです🤦♀️無理なさらず頑張ってください…!!応援してます! (2022年6月17日 9時) (レス) @page11 id: f76d03d4ec (このIDを非表示/違反報告)
猫毒(プロフ) - 観葉植物2号さん» コメントありがとうございます!!!レス遅くなってごめんなさい…一ヶ月ずっとニマニマしてたので忘れてました((更新頑張ります! (2022年5月24日 16時) (レス) @page11 id: 60e955f946 (このIDを非表示/違反報告)
観葉植物2号(プロフ) - 声出して思いっきり笑いましたwwギャグセンス高すぎるw これからも更新頑張ってください!!!! (2022年4月30日 0時) (レス) @page2 id: 9098365451 (このIDを非表示/違反報告)
猫毒(プロフ) - 休日はゆっくりするべしさん» コメントありがとうございます!ギャグセンスには自信が本当に0なので安心しました…!こんな作者でも、応援よろしくお願いします! (2022年4月18日 18時) (レス) @page7 id: 057b83dcbe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:猫毒 | 作成日時:2022年4月16日 12時