1振り目 ページ1
もう、面倒くさい。
私は今、学校の屋上にいる。
理由は簡単。
ここから飛び降りて、人生の幕を閉じようとしてるから。
学校ではいじ められて、毎日笑われ者の私。
誰も助けてくれないし、見て見ぬふり。
両親は仕事が忙しくて、朝起きたら居ないし、夜も私が寝た後に帰ってくる。
顔だって、もう何年も見てない。
そんな孤独な私を癒してくれる、唯一楽しいと思わせてくれるものが
【刀剣乱舞】というゲームだった。
『……本丸に行きたいな…』
アプリを開くたびに言ってる、この言葉。
刀剣乱舞はふと目に付いたアプリで、始めてすぐにハマった。
寂しい奴だって思われるかもしれないけど、実際、寂しかった。
でも、もう疲れた。
面倒くさくて、嫌だ。
私は屋上のフェンスを越え、ケータイを取り出し、刀剣乱舞のアプリを開く。
−な、なんといえばいいんでしょうか…困りますよね−
ケータイから聞こえるもう何度も聞いた可愛らしい声。
アプリを読み込んでいる時のボイスを聞くのも、このアプリの楽しみ。
『今日は五虎退かぁ……ほんと、可愛いな……』
五虎退は私の初鍛刀で、もうレベルはカンスト済み。
可愛くて、私は短刀も大好き。
私の本丸はもう大体の刀剣が揃っていて、カンスト済みもちらほらといる。
本丸レベルも、もう130に達する。
『随分とやり込んだなぁ、私』
自分で言って苦笑い。
私は、自分の本丸にいる全ての刀剣男子達のボイスを全て聞いて、アプリを、ケータイの画面を閉じた。
静かにポケットへと仕舞い、大きく深呼吸をした。
そして
『……さようなら』
少し震える足で地面を蹴り、重力に逆らいながら下へと落ちていく。
静かに目を閉じ、本丸のことを思い浮かべる。
恐怖を、感じないように。
嗚呼、本丸の、刀剣男子達に出逢えて良かった。
静かに、涙を流した。
次の瞬間、ドンッという鈍い音とともに、激しい痛みと衝撃が襲ってくる。
霞む視界の中、騒ぎが聞こえ、何故か笑みがこぼれた。
最後に、本丸の子達に会えて
『よか、…………た……』
静かに、目を閉じた_____________
「……寂しいまま、死なせはしないよ
__________________________主」
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シオン(プロフ) - とっても面白いです!更新頑張ってください!応援してます!! (2017年3月9日 23時) (レス) id: b37a41c8da (このIDを非表示/違反報告)
暁(プロフ) - 面白いです!更新頑張ってください!!! (2017年2月25日 9時) (レス) id: 40e1b72ab9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:舞希 | 作成日時:2017年2月18日 20時