甘くて甘い、【歌い手】【短編集】

隣【skt】 ページ3

『さかたーん、、もう10時だよ？』

「…あとごふん…、」

『それ何回目…？』


土曜日の午前10時過ぎ。
「明日は買い物行こうな！」って言われて
楽しみにしてたんだけどな。


歌い手の活動もあって忙しいのはよく分かってるつもりだし。


彼の活動も好きだから邪魔したくない。


今日は買い物断念だな、と寝室を出ようとドアノブに手をかける。


「…どこいくん」


ばっと振り返ると坂田が私の事をじっと見つめていた。


『…ううん。さかたんが寝てるなら邪魔しない方が良いかなって。どこにも行かないよ』

「…おきるわ」

『え、いいよ。今日は家でゆっくりしよう？』


確かに買い物には行きたかった。

でも坂田の休息だって大切にしてあげたいのも本心だし無理させたくない。


「…じゃあAこっち、きて」


くい、と服の裾を引っ張られそのままベッドに座り込む


「…あったか」

『暑くないの？』

「安心する…」


そのままぎゅう。と私を抱きしめながら横になって彼は眠りについてしまった。

その温もりに包まれて2人で日が暮れるまで寝てしまったのはいい思い出。


fin.

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