45＊空気感染 ページ45
「──さん、これ」
「あ……ありがとう」
何をするともなく頬杖をつく少女に一枚のプリントが差し出される。
少女が振り向く先にいたのは、爽やかに微笑む少年だった。
何故か、別段微笑む場面ではないのにわざとらしくない。
「わー、止めとけばいいのにー」
「菌が染るぞー」
穢れた嗤い声が響く。
寒気がした。
「ごめん……」
少年は笑顔を消して、気まずそうに俯く。
結果的に少女が嘲笑われることになったから、謝ったのか。
それとも少年には少女を護ることが出来ないからなのか。
私には分からない。
「みんなのところに行って」
「行きたくないよ」
「染まらないように気をつければ良いの」
小声で交わされるやり取り。
少年はまだ何か言いたげだったけれど、そっと息を吐いて少女に背を向けた。
少女も再び窓の外に目をやる。
『
少女の、声にならない声だろうか。
それは私の中に木霊して、ゆっくりと溶けていった。
その瞬間、周囲の笑い声も話し声も全て消え、暗闇と静寂が辺りを包む。
ストップモーションがかかった中で、少女だけが動く。
私は観ているだけの筈なのに、見据えられている気がした。
彼女の瞳もまた、汚れからかけ離れている。
『私を菌扱いするなら──その菌に空気感染しちゃえば良いよ』
そのときには彼女の視線は私から外れていた。
物語でよく在るような光景。
前にも私はこれを観たことがある。
でも、どうして。
どうして今、私はこれを観ていたんだろう。
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しろひつじ(プロフ) - みまりさん» ありがとうございます!!何回も読んでいただけるなんて本当に嬉しいです。テンション上がりますか、すごい……！ (2015年2月13日 21時) (
レス) id: 6b5ba321da (このIDを非表示/違反報告)
みまり - ちょー面白くて何回も読み直しています! これ読むとテンションアゲポヨになります! (2015年2月13日 20時) (レス) id: 7a2b267fa6 (このIDを非表示/違反報告)
しろひつじ(プロフ) - みーゆさん» みーちゃん！嬉しい!!!自分のこととかも考えながら書いてますー。ありがとう、頑張る！ (2015年2月10日 14時) (レス) id: 6b5ba321da (このIDを非表示/違反報告)
みーゆ - すごいねー！つい読みふけっちゃったよー(￣∇￣;)白ちゃんの実生活とかが混ざっててちょーおもしろかった！愛読者になっちゃいます笑笑 更新楽しみにしてるね！教えてくれてありがとうっ(*^_^*) (2015年2月10日 14時) (レス) id: 06beca72c0 (このIDを非表示/違反報告)
しろひつじ(プロフ) - りるぽんず*さん» りーちゃん！！！ありがとう！！！コメントまでしてくれて本当に嬉しい！まだまだ模索中ではあるけど、妥協せずに頑張ります。りーちゃんの更新ラッシュを見習ってかきかきするね！ (2015年1月20日 17時) (レス) id: 6b5ba321da (このIDを非表示/違反報告)
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