鎖を解いて、その手を伸ばして

42＊無視して放り出して ページ42

　テストまであと三日。広報委員会の人たちが作成したコンピューターのホーム画面がそれを堂々と告げている。

　言われなくても分かってるよ。

　思うけど言わない。
　広報委員会もそれなりに苦労して作っただろうことくらい私にも分かる。
　それに文句をつけるなんて早川(はやかわ)先生が許さないだろうな。


　早川先生は六組、つまり私たちの担任の教師だ。
　正義感の強いベテランの男の先生。
　二組、四組、六組の社会を担当している。


　ドアの側にあるコンピューターを通り過ぎて、相も変わらず賑やかすぎる教室を背にした。

　途端に冷たい空気に包まれて、思わず身震い。
　まだ冬は長そうだ。本当に寒い。
　今日はきちんとポケットに入れてきたカイロをぎゅっと握る。

　人気のキャラクターがプリントされたカバー越しでもそこそこ暖かい。
　冬休みに叔母さんにもらったカイロカバーは私のお気に入りだ。


　どうしてそれ程寒いのに私が廊下を歩いているかというと、一組まで図書委員会のプリントを届けないといけないから。
　テストが終わったら一組がカウンター当番だから、早めに渡しておこうと思ったのだ。


　もう一人の図書委員の男子と交代で貸し出しの手続きをやっていたけど、暫くお休み。


　テストが明けたら真っ先に本を借りようと決めている。
　今借りると勉強なんて放り出して読んでしまいそうで、我慢しているから。
　読み始めると止まらないんだよね。
　早く本を思い切り読みたい。

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