拾う人と拾われる人の話５ ページ5
何度かレジに立っている時に見た事があった人だ。
いつも絵の具がたくさん付いた服を着て、酷い時は顔にも付いていて。
この前は財布を忘れて来ていた。
「私、ここのパン屋のバイトです。何度かレジでお見かけした事があります…」
小声で言うと、その人は私の顔をまじまじと見て「ん〜」とうなると。
「ごめん、思い出せない」
「いえ、いいんです」
まぁ、そんなもんだろうなと思う。ただの買い物客と従業員だ。
いつの間にかお互い空になった缶ビールをビニール袋に入れると、ゆっくりと立ち上がった。
「あの…ビール、ありがとうございました」
頭を一つ下げると、のろのろと動き出す。
さて、この後どこへ行こう。
駅前に戻ってカプセルホテル…でも手持ちがない。
最悪…野宿でも大丈夫だろう。
夏だし、凍え死ぬ事はない。
そんな事をぼんやり考えていると…その人がまた声を掛けてきた。
「…行くとこ、あるの？」
そう問われ、自分の顔が歪むのが分かる。
行くとこなんて、ない。
私の態度で分かったのだろう。
その人はスッと手を差し出して来た。
男の人とは思えない繊細で長く綺麗な指につい、みとれる。
「なら、家おいで」
「…は？」
あれ？聞き間違えた？
でも、今この人、家おいでって…？
頭の中が整理出来ずパニックになっていると。
その人の手が、私の手を握り歩き出した。
「ここからそんな遠くないし、君一人くらい泊まれる部屋あるから」
「そ、それは駄目です！知り合いでも何でもない人の所にご迷惑になるわけには…！」
慌てて引き止めようとするが、止まらない。
「知らない人、じゃないよ。うまいパン屋の常連客と店員。それだけで充分でしょ？」
不思議そうに見つめてくる。
「…世間一般では、それは…赤の他人と区別されるのでは…」
「そうなの？」
その人は、口ではそう 言いながらも足を止める気配がない。
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米(ヨネ)(プロフ) - やっと見つかりました！記憶に残ってたこちらの作品がどうしても読みたくなり、でも失礼ながら、山田さんのお名前もお話のタイトルも思い出せず…ひたすら探して見つかって読ませていただけて非常に嬉しいです！消さずに残しててくださって有難うございます！ (2018年3月6日 18時) (
レス) id: f4e15bb09e (このIDを非表示/違反報告)
山田(プロフ) - 三毛猫さん» 三毛猫さん、お久し振りですね♪こちらにコメント頂く事、最近なかったので驚いちゃいました(*^^*)出来たら今年中には新作出したいと思っているのですけど…(-_-;)三毛猫さんも風邪などに気を付けてお過ごし下さいね(^-^) (2013年12月20日 10時) (携帯から) (レス) id: 35806cb009 (このIDを非表示/違反報告)
三毛猫(プロフ) - お久しぶりです！最近はまた1から読み直しをしてます！忙しい時期ですが早く新しい小説が読めるといいなーって楽しみにしてます！ もうすぐ相葉さんの誕生日ですねー 山田さんも楽しい年末を過ごせるといいですね ー 来年もよろしくお願いします！ (2013年12月18日 17時) (レス) id: d1001ee177 (このIDを非表示/違反報告)
山田(プロフ) - のっちさん» のっちさん、はじめまして。コメントありがとうございます(^-^)この小説を面白いと言って下さって、嬉しいです♪また、彼らのお話は書きたいとは思っていますが…いつになるか…。 (2013年4月15日 0時) (携帯から) (レス) id: 35806cb009 (このIDを非表示/違反報告)
山田(プロフ) - ふーさん» ふーさん、コメントありがとうございます。全部読んで下さったなんて…すごく嬉しいです！この６人のお話、また書けたら書きたいですね…(^-^) (2013年2月17日 15時) (携帯から) (レス) id: 35806cb009 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：山田
| 作成日時：2012年9月25日 15時
