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その後由紀の後に風呂に入らせてもらい、お母さんのだという部屋着を借り用意された布団に入る。
「すごい、由紀の匂いがする」
慣れた匂いに包まれる。
同じ洗濯機で過ごしているから当たり前だが。
「やだ!会長私、そんなこと言われちゃったら…襲っちゃいますよ?」
きゃっ、と両手を頬に当て口説かれたように赤く染める。
「なんて?」
その発言に風呂上がりの脳がついて行かずふわっと聞き返す。
「ふふ、布団になりたいということです」
よく分からない事を言っている。多分深く考えることじゃない。
なぜか身の危機感を感じたため由紀に背を向けるように寝返りを打つ。
「明日も早いしもう寝ましょ。」
「はーい。電気消しますね」
パチッと音がして部屋が暗くなる。
すると、心身ともに疲れているようで泥に沈むようだった。いつもの寝具でなくても深い眠りにつけそう。
だからか。夜中に由紀がカメラとパソコンを起動し、兄に説教をくらっていても起きることはなかった。
夢を覚えることもなく、身体が自然といつもの時間に起き上がる。
少しぼーっとして一通り着替えを済ませ上着を持って夕食を食べたリビングに下りると、既に誰かが起きていた。
見た事のある茶髪のショートカットにキリッとした顔の女性だ。ニュース番組を見ながらコーヒーを飲んでいる。アイロンのかかったワイシャツにビジネス用のパンツスタイルが非常にカッコイイ。
つい見惚れていると相手が気づく。
「おっ」
「あ」
盗み見は良くなかった。どう話を切り出すか急いで考えると、相手が口を開く
「だれ?哲次の彼女?」
「違います」
考えていたことを全て放棄してその一言を即座に返す。
相手はなんだ…と残念そうにコーヒーをすする。
荒船さんまさか家族に連絡を入れていたかったのだろうか。
「てかそれ私の?」
「お借りしてます。すみません」
「いいよ。んー、そういえば哲次からなんか連絡入ってたわ」
どうやら今既読をつけたみたいだ。
随分とマイペースな人のようだ。私の、ということはこの人があの兄妹の母親ということになる。
「突然なのに泊まらせていただいてありがとうございます」
「まぁよくあるから問題ないない。でもまさかこんな可愛い子連れてくるって知ってたら早めに仕事切り上げてきたのに」
この人産まれてくる性別を間違っているのでは?と思うくらいサラッと口説かれる。
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nekotan2069puri(プロフ) - Part2ってありますか? (2021年1月31日 5時) (レス) id: 6b085184bf (このIDを非表示/違反報告)
豆腐ノ木(プロフ) - いやぁわざわざ待っててくれてありがとうございます!データは大事にします (2016年8月24日 22時) (レス) id: 2326a3abe8 (このIDを非表示/違反報告)
hikarika(プロフ) - 復活おめでとうございます!更新待ってますね! (2016年8月24日 21時) (レス) id: 8c72317fb5 (このIDを非表示/違反報告)
風間あかり(プロフ) - 風間さん……一体何人で飲みにいったの………? (2016年5月11日 13時) (レス) id: e3aa90e3eb (このIDを非表示/違反報告)
風間あかり(プロフ) - 豆腐ノ木さん» お疲れさま (2016年3月28日 17時) (レス) id: 55a9b6e827 (このIDを非表示/違反報告)
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