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式が終わると親達は別の教室で説明会を受けている。新入生もこれから世話になる担任のもと30分程度話を聞くのだ。
席順は既に決まっている。よくある苗字の頭文字のルール。
その結果、小学校4年まで何度も経験した橘と奈良坂というかなりの確実で私が前、透が後ろの席というものが成立する。
教室が同じでもあり、今回も見事にそれに当てはまってしまった。
(知らない人よりはいいけど…)
後ろに座っていると思うだけで緊張して肩はガチガチに、足はピシッと膝をくっつけ固まっていた。
(奈良坂くんは知らない人じゃないのに何故か緊張する)
理由が全く分からないので厄介だ。怯えるほど怖い訳でもなくて、これとといって嫌な思い出があるわけじゃない。
ただこれが後一年続くと思うと気が思いやられる。熊谷は別のクラスなので実質一からどうにかするしかない。
先生の話を聞き流し10数分。連絡事項などを伝えられ予定よりも早くホームルームが終わった。残り時間は親が達の説明会が終わるまで教室で待機となる。
残り時間、これが勝負だ。誰かしら話しかけないとこの先一年後悔する。せめて隣と話をしようかと思い横を見ると、既に席を立っていた。
(まずい…)
隣が一番話のきっかけを作りやすいのにチャンスを逃してしまった。モタモタしているうちに周りはどんどん近い人と組を作り始める。そうなると途中から入れないのが人見知り、コミュニケーション下手の最大の欠点だ。
「ねぇ、奈良坂くんだっけ?」
と、最後の渡りの綱である後ろの席から会話の声が聞こえる。
「私宮本静っていうの。よろしくね」
女子から話しかけられている。透は軽い返事をした。
「いいなー、私も奈良坂くんの前とか後ろが良かった。だってかっこいいもん。彼女とかいるの?」
(これは…)
世にいう逆ナンというやつだ。
宮本の言う通り、当たり前すぎて意識はしていなかったが目に入れても痛くないくらい透はかっこいい。当然女子にモテてもおかしくない。
透が男女ともに人気があるというのは幼馴染として嬉しいが、彼女の言った周囲の席が羨ましいと言っていたのを聞き謎に申し訳なくなった。
とにかく、私は二人の会話を聞くのが怖くなり恐れつつも席を立った。苗字が橘だから許してほしい。その他の周囲の席の人も許してあげてほしい。
私は教室の窓側で三人くらいの組で話している人達に近づく。
「あ、あの。私このクラスに友達いなくて、私も話に混ぜてもらっていいですか?」
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nekotan2069puri(プロフ) - Part2ってありますか? (2021年1月31日 5時) (レス) id: 6b085184bf (このIDを非表示/違反報告)
豆腐ノ木(プロフ) - いやぁわざわざ待っててくれてありがとうございます!データは大事にします (2016年8月24日 22時) (レス) id: 2326a3abe8 (このIDを非表示/違反報告)
hikarika(プロフ) - 復活おめでとうございます!更新待ってますね! (2016年8月24日 21時) (レス) id: 8c72317fb5 (このIDを非表示/違反報告)
風間あかり(プロフ) - 風間さん……一体何人で飲みにいったの………? (2016年5月11日 13時) (レス) id: e3aa90e3eb (このIDを非表示/違反報告)
風間あかり(プロフ) - 豆腐ノ木さん» お疲れさま (2016年3月28日 17時) (レス) id: 55a9b6e827 (このIDを非表示/違反報告)
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