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「そうして生徒会に入って数ヶ月、彼は生徒会室で寝むってしまったTを見かける。その顔がとても穏やかで、綺麗で少し魅入った後にすの顔を隠すように自分の制服の上着を掛けた。
すると、次の日彼女はそれを彼の元に直接届けに来た。部屋に置いておけばいいものを、わざわざ丁寧な袋に入って受け渡され、そこで確実に彼は実感する。その子に恋をしたんだと。
その後はなんだかんだあって進展がないまま文化祭になり、クイズに優勝した彼は一日デート券を手に入れる。ここからは未定だから省略して、そこで告白し、晴れて2人は結ばれる。
どう?結構ドラマチックなストーリーかと…」
「ふざけんな!」
「あれぇ?私的にはからかいがいのある反応をしてくれると思ったのに…」
強く言葉をぶつける。少し声を荒らげたせいか、近くを歩いていた人がこちらを一瞥する。千葉はまったく自分が悪いとは思っていないような素振りだ。
人の気持ちをこんな風に開示され、過度に干渉されて怒らないわけがないだろう。
「お前の娯楽にAまで巻き込むな!それに、Aにはちゃんと相手がいるんだ」
なぜこんな事を口に出して言わなければならないのか。自分で言って切なくなってくる
「それはそうだけど」
「分かってんのかよ…」
異次元の脳だ。相容れない。
知ってたならどうしてしこまで自分達の関係を望むのか。その回答を千葉は堂々と、ハッキリ鷹揚に答える。
「言ったでしょ?恋をしている結城を見るのが楽しい。恋焦がれている時の焦燥、羨望、嫉妬までしているのに強い理性的な騎士道がある。そしてどこまでも損をしている。
これは貶しているわけじゃないよ?ただ、綴る側として書きたくなる主人公みたいな性格をしているんだ」
「…」
言葉を失う。ここまで自分のことを自分よりも知っている。先程まで逃がさないとしていたのに、恥ずかしいくらいに暴露されこちらの方が逃げたくなってきた。
「俺はそんなにいい性格じゃない。いい加減に…」
「大丈夫!失恋したとしても私だけは実現させてあげよう」
ポンと肩の代わりに腰を叩かれる。
「それに、もうやっちゃったものは仕方なし!運命だと思って一日デート券享受しなよ〜」
なんだか話しただけ無駄だった。言った通りなのに腹は立つがこうなってしまったら仕方ない。
「もういい。戻る」
体育館の中に戻る。
券は破棄するなり、Aに託すなりすればいい。説教は後でじっくりすることにした。
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nekotan2069puri(プロフ) - Part2ってありますか? (2021年1月31日 5時) (レス) id: 6b085184bf (このIDを非表示/違反報告)
豆腐ノ木(プロフ) - いやぁわざわざ待っててくれてありがとうございます!データは大事にします (2016年8月24日 22時) (レス) id: 2326a3abe8 (このIDを非表示/違反報告)
hikarika(プロフ) - 復活おめでとうございます!更新待ってますね! (2016年8月24日 21時) (レス) id: 8c72317fb5 (このIDを非表示/違反報告)
風間あかり(プロフ) - 風間さん……一体何人で飲みにいったの………? (2016年5月11日 13時) (レス) id: e3aa90e3eb (このIDを非表示/違反報告)
風間あかり(プロフ) - 豆腐ノ木さん» お疲れさま (2016年3月28日 17時) (レス) id: 55a9b6e827 (このIDを非表示/違反報告)
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