猫かぶりの裏の顔2【奈良坂透】 (ページ15)

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｢歴史が好きなのは分かったけど、あの部長とあんな狭い場所で熱く語り合うのはやめてくれよ｣

ドン引きの余韻が残っているのか、ため息混じりに言う。

それがどういう事なのか。本気で言っているのではないと分かってはいる。それでも気持ちの悪い冗談はよしてほしいとついカッとなる。

｢はい！？すっ、するわけないでしょ！いい感じに抜け出したんだから。あの部屋ちょっと暑くない？あの人もなんか汗かいてたし、なんで窓開けないのかな｣

ブレザーとシャツのボタンを2つ開けたくなる。天気はいいが風はあまりないため、手で扇ぎ凌ぐ。

｢まぁ、寒がりなんだろ。えっと次は…｣

すごい適当な理由を述べてささっと切り替える。場所の情報はない。とにかく歩いては貼り紙の貼ってあるコーナーを見つける。

｢陸上部だ｣

窓の外の体育館の校庭と繋がっている戸の辺りでテントの下に机が展開されている。貼り紙には5と手書きの貼り紙が貼ってある。

｢おお橘だ！｣
｢橘先輩と河北先輩こんにちは〜｣

男子の同級生と女子の後輩が挨拶をするので会釈する。
それにしても、陸上部の問題とはあまり想像がつかない。

｢賞品になったんじゃないの？｣

首を傾げる。

｢寝言で許可しない限り、そんな事になるわけないって…｣

どうして皆私が自ら名乗り出たとばかりに。少しは疑問を持て。

「まぁ、いくら橘でもこの問題は簡単に解けないからな！」

ドンッと胸を自信満々に叩く。その目は熱に満ちている。私が答えられない姿を見たくて仕方が無いようだ。

｢三門市ボーダー本部の狙撃手の中で最も多く使用されているトリガーの種類は？｣

｢…え？｣

全く陸上に関係なくて今度は私が首を傾げる。優しいことに、きちんと3種類のトリガーの詳細と名前が簡単に記された資料が出てきた。
難易度は☆1～2とある。人によって難易度が違うようだ。先程のはマイナー攻めだが、こちらは少し少々経験の公平性に欠ける。

(ここは叱るべきところではあるけど…)

「俺の友達がボーダー隊員なんだ。橘も河北先輩もボーダー関係者じゃないよね？｣