猫かぶりの裏の顔2【奈良坂透】 (ページ2)

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寝れなくて、つい高崎第一の生徒らしいSNSを確認する。

『高崎第一会長』と調べると、流石何件も流れてくる。中には殴りたくなるような内容の物もあり見てて非常に腹が立つ。

『凄い』『可愛い』『綺麗』、そんな言葉は本人も聞き飽きてるだろう。

これが彼女だったら最高。当然だ
自宅でマンツーマンで教えて欲しい。ふざけんなはっ倒すぞ。

そんなこんなでスライドしていき、一週間前くらい前の投稿。

『橘さんと河北先輩の組み合わせ推せる〜！』というもので指を止める。

(誰だ？)

Aの学校内まで詮索するのは遠慮していたが、気になって仕方がない。河北先輩とやらが女だというなら問題ないが、さらに過去に遡っていくとそいつの姿を確認する。

｢男かよ｣

同じ生徒会同士、廊下で仲良さそうに話をしている。携帯の使用は御法度なのに堂々とSNSに写真を出している。

Aに限って浮気などしないとは思うが、やけにこの河北と付き合っているんじゃないか。そんなものが多い。

確かに河北の顔は良い。チャラついた見た目でもなく、背も高くて鍛えてるのか制服から見える腕には筋肉がついている。進学校なのだから頭もそれなりに良いのだろう。

Aの貞操観念への信頼度はセコムに勝る。浮気はないと確信している。だが、今回の件でこのまま拗れた場合に別れるとはいかなくても嫌われるのは間違いない。

自分の目の届かない他校という領域でこの河北とかいう男を好きになったら。いや、そうなる前にAはまず自分に別れを切り出すだろう。想像するだけで落ち込んだ。

河北に嫉妬はしても恨みはしない。こいつは本音の魔窟であるSNSでも評判が良さそうだ。妬みから殺意のようなコメントも見られるが。

とにかく、この状況を何とかしなければならい。全てはそこからだ。そう思い、魔窟の画面を一覧から弾き、とある人に連絡をする。

すぐに既読がついて着信がきた。

心拍数を高くし通話ボタンを押した。