未来を変えるための4【烏丸京介】 (ページ43)

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「...A、遅くないですか？」

「生駒との用事はとっくに終わってるはずだぞ？また迷子か？」

支部長はもう慣れたよと笑う。しかしこの状況もなんか久しぶりな気がする。

「俺迎えに行ってきます。多分意地はってると思うので」

慣れてきたボーダー生活のせいで、なんとか行けるだろうという精神のまま市街地に迷ってるとしたら間違いなく戻ってこない。支部の近くでぐるぐると迷っていたくらいだ。

今日は一日曇りなので自転車を走らせても問題無いだろう。

「悪いな、バイトから帰ってきたばっかりなのに」

「いえ、大丈夫です」

支部長の言葉の返答に、自分が行きたいだけなんで。と心の中で付け足す。

まずはいる位置の確認のため通話ボタンを押す。すぐに気づき繋がった。

「A、今どこだ？」

『公園』

何かに集中しているのか。言葉が文として返ってこない。作業中の時の会話みたいになっている。

「何公園ですか？」

『...ブランコとすべり台、ベンチしかない。』

公園名が無く、一目で確認できるぐらい小規模。市街地のマンションやアパートの隙間に出来たささやかなものなのだろう。

商店街から玉狛支部の間にある小規模な公園といったら一つぐらいしか思い浮かばないので、すぐに行けそうだ。

「分かった。今そっちに行くから移動しないでくださいよ」

『うん』

そこで通話は終了。なぜか会話に違和感を感じる。まさかこんな寒い中眠くなるわけでもあるまい。

心配になってきたのでギアの数字を上げて急ぐ。顔に当たる風が冷たくてマフラーを少し上げ顔半分を隠した。