未来を変えるための【烏丸京介】

40 ページ44

自分のトリガーを改造している間、クローニンさんは部屋の隅で別の作業をしている。変わった形のパソコンを収納するのか、それよりも一回り大きいトランク式のケースもあった。


「それ、なんですか？」


後ろで作業しているのは気にならないようにらしいが気になる。


「内緒だ。まぁ気にするな」


この人も仏頂面なせいでやっぱり感情を読み取りづらい。一応、若干口角が上がっていて楽しんでいるようだけど

天才には変人が多いと聞く。その部類なのだろう。

そういえば、宇佐美がくれた眼鏡があったな。と思い出し上着の左ポケットを漁る。青いクリアケースの中にシンプルな黒の眼鏡が

ほんとに変わるんだろうか。


「おお、色が」


青い色素が消え全体的に黄色っぽくなったが作業に支障はない。確かに目が疲れないような。そして心做しか目も良くなった気が。

これは眼鏡に心酔するのも分かる。



「どうだ？どのくらい進んだ」

「6割ぐらいかと」

「どれ、」


場所を少しずらしクローニンさんがトリガーを見る。

その間に腕と足を伸ばし、首と肩を回した。作業初日は大丈夫だったのに立て続けに行うと流石に音がなる



「上手くなったな。若いから飲み込みが早い」

「頭に余裕があるだけですよ」


同じ年代でも明らかに私の頭の作業、単語の数は圧倒的に少ない。

本も同じものを何度も読み返し外にもあまり出てない。同じようなことのループに学ぶ機会は少ない。

しかし規則が分ければそう難しいことじゃない。ゆりさんいわく私は理数系だとか。


「この調子ならまた県外に行くのにも間に合いそうだな」

「え、また行くんですか？」

「まぁな。若い有望なやつがいれば玉狛は心配するようなこと無い。

ちなみにあと2日だ」

「2日...！？」


2日以内にこれを完成させなければならないのか。これが、締切との戦い。

41→←39

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す