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お兄ちゃんの部活が終わるまで残り10分
まだ終わりそうにない
大量のプリントを目の前にしてがっくりと項垂れる
「ていうか……少しはやってよ。私1人じゃ終わりそうにないんだから」
先に帰ってもいいと言った時は
全部押し付けてるみたいで悪いからだとか言って
協力するような素振りを見せていたけれど
そんな彼は今私の目の前で
ボリボリと音を立てながら煎餅を食べている
『ごめん。だってお腹空いた』
「煎餅食べたってお腹満たされないでしょ?」
『煎餅じゃないから。ぬれおかきだから』
…私にはその違いがさっぱり分からない
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とにかく早く終わらせたくて
深くゆっくりと溜め息をついてから
また作業に取り掛かろうとした時
ガタッと音を立てた教室の前のドア
その音にすぐさま反応し、顔を上げたけれど
そこには誰もいなくて
『何?なんで今音したの?』
ぬれおかきの大袋を胸に抱えながら
少しビクついたような様子を見せる平野くん
私はお兄ちゃんが迎えに来たのかと思ったけれど
どうやらそれは勘違いだったようで
机の隅に置いたスマートフォンを開き
お兄ちゃんとのトークを開くと
返信はなかったものの"既読"
の文字だけがついていた
ちゃんと私からのメッセージを
確認したんだなっていう安堵と
例の彼女さんと一緒に帰る予定だったのかな
っていう不安と
色々な気持ちがごちゃ混ぜになる
あぁ、ほんと自分って面倒くさい
彼女でもないくせに。
ただの妹という立場なくせに。
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むーちょ(プロフ) - ななみさん» そのようなお言葉を頂けてとても嬉しく思います。後悔の無いよう自分の持てる限りの力を発揮し、来月には笑顔でここに戻って来れられるように頑張りたいと思います…!少しお時間を頂く形とはなってしまいますが、最後までお付き合い頂けると嬉しいです(^^) (2020年1月14日 1時) (レス) id: f803838bc4 (このIDを非表示/違反報告)
ななみ(プロフ) - むーちょさん、素敵な作品を読ませていただいてありがとうございます。受験生なんですね。お勉強大変でしょうが、春には希望の場所で新しいスタートが迎えられますように。体調を整えて力が発揮できますように…祈っております。 (2020年1月14日 0時) (レス) id: 6b92244ddf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:むーちょ | 作成日時:2019年11月15日 22時