ハチミツよりも甘い 2

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それから数日後、私はバイトを終えた後にスーパーで買い物をしていた。


外はとても暑いのにスーパーはすごく寒くて、この気温のゆさぶりが余計に体を疲労させる。


暑いときは肉を食べて、夏バテを防ぎたい！なんて言ってた宏光のために、今日は焼肉にしようかな。









お肉コーナーでどの肉にしようかなーって品定めしていたら、ふいに手首をガッと掴まれて


「見つけた」


と言われ、振り向きざまに私は驚きの表情を隠せなかった。




「太輔…っ！」





「ちょっと時間かかっちゃったな、ごめんね」


と笑顔で言う。





謝る意味がわからない。


私も走って逃げたりすればいいのに、とてもその足を動かす事ができなかった。




その笑顔の裏に隠された狂気を知っているから。









「それ」



私の手首を離し、カートの上の買い物かごを指差した。



「一人で食べるの？誰かと食べるつもり？」




なんて急に真顔になって言う。

知ってるくせに。


なんでそんな事言えるのよ。






「帰るよ」





強引に私の腕を引っ張って連れて行こうとするから、その手を振り払いたいのに、太輔の力が強すぎてできない。




「いやっ…」




抵抗する私を見て、しょうがないなと言わんばかりにため息をつく太輔。


すると私の耳元でこう囁いた。




「北山がどうなってもいいの？」





そんな事を言われて、私は抵抗すらできなくなった。


大人しくなった私の腕を掴み、かごは店員さんに渡して買い物を強制的に中断させられた。


太輔の車にのろのろと乗り込んで、家に帰らざるをえなくなった。

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