ハチミツよりも甘い 2

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宏光が一度会いに来てくれたけど、それから1週間…また来るねと言葉を残してはくれたけど


来てはくれなかった。






やっぱり他の男の子供を妊娠してるなんてひくよね。


こちらから連絡も出来ないし、私は待つだけしかできない。


まだ時々気分が悪くて、家でぐったりしてる日々も多いけど、あの街で過ごした日々を思い出して乗りきっていた。







そんな時、玄関の鍵が開く音がした。


こんな昼間に太輔が帰ってきたのかと思ったけど、リビングのドアを開けたのは渉だった。



「渉…」


「…元気？」


「…つわりで死んでる」


ははっと笑ってキッチンに行き、料理を始めた。








30分もするとあっという間に美味しそうな料理が出来上がった。




「ありがとう…」


「食べよ」



二人で食卓につき、無言で食べ始めた。


私は食事の手を止め、渉の方を見ずに話した。


「何にも聞かないの？」


「聞いてほしい？」


「説教して欲しい。
なんで太輔を裏切ったんだって怒って欲しい。
なんでお前はまだ北山が好きなんだよって言って欲しい」


そう言いながら私の頬には涙が伝う。


渉は何も言わずに私を見つめるけど、言いたい事は山ほどあるだろう。






なのに何も言わないのはなんで？


私の事、バカじゃないのって罵ってよ。





「この前、店で太輔と北山が話してたよ」


「え…？」


そんな事知らない。

宏光も何も言ってなかったし。




あ…あの時の玉森くんからの電話。



「何を話したのかあんまり聞こえなかったけど
北山、ヘコんでたよ」


太輔に何かを言われて、ここへ来なくなったの？







私達は料理を食べ終え、渉は片付けを始めた。


渉は食器を洗い、私は水で流した。

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