ハチミツよりも甘い 2

62 北山 side ページ14

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はぁーー、やっとバイト終わった…


俺が若いからってこき使いやがってーー！


でもAからLINE入って、今日は焼肉だって言ってたから楽しみだーー








やっとアパートの前に着いたけど、部屋の電気がついてない。


幸せに肩までつかってた俺は、この時何が起きてたかなんてまったく想像もしてなくて。


この生活がずっと続くもんだと思ってた。


好きな人のお腹に旦那の子供がいても、Aの子なら愛せると


絶対的な自信があったんだ。








だって誰も知らない土地に来たんだ。


誰が俺達を見つけるんだよ。









心臓が早鐘を打ち、階段を駆け上がる足ももつれる。


急いで鍵を取り出しドアを開けたけど、部屋は真っ暗でそこにAの姿はなかった。


スマホを取り出し慌てて電話をかけたけど、コール音ばかりが鳴り続ける。






「なんで出ないんだよっ…」





その瞬間にコール音がやみ、画面に通話中の文字が出た。



「A！？どこにいんの？」


『もうお前んとこには帰んないから』




この声は…




「は！？」


『人の嫁寝取っといて何様だよ』


「たいす……藤ヶ谷…」




太輔さん、なんてもう死んでも呼ぶもんか。



『二度と連絡すんな』





そう言って電話が切れたけど、すぐにかけなおした。

Aの声が聞きたいのに、コール音はすぐに切れ、それから電話が繋がらなくなった。




あいつ…電源落としやがった！




どーする？


今すぐ行っ…ても100%Aには会えない。


明日は土曜日だし、藤ヶ谷は家にいるじゃん！！


もちろん日曜日もいるだろうし、あいつは絶対にAを一人にはしないだろう。






月曜日しかない。


それまでになんとかAに会える方法を考えなきゃなんねぇ。

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