愛されたいのは 2

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俊くんはソファで寝ちゃってるし、北山さんもその隣で寝ちゃってる。

風邪ひきそうと思って、ちょっと寝室に失礼して毛布を運び、2人にかけた。

とりあえずゴミや空き缶を捨て、あとは取皿なんかもキッチンへさげて簡単に後片付けをした。

さて、お皿を洗ってしまおうかなと腕まくりをしたら、後ろから抱きしめられた。

この腕は…


「き、北山さん、起きてたんですか？」

「ん…」


寝ぼけてるんだろーか。

まともな返事が返ってこなかった。


「あ、あの…」

「A…好きだよ」


いつもはちゃん付けなのに、急に呼び捨てるのは本当にあざとい。

しかもなんで今 好きとか言うの…


「本当は今すぐ寝室に連れて行ってAを抱きたい」


"抱きたい"なんてストレートに言われると、なんだか妙に恥ずかしくて、その腕に顔をうずめた。

北山さんってみんなの前ではしっかり者で、いつもお兄ちゃんみたいな顔してるけど、

本当は1番の寂しがりやで、きっといつも誰かと一緒にいたいんだろうなって思う。

酔ってる今は自分に素直でストレートな感情をぶつけてくる。


「あ、あの…」

「…なんてな」


って素の自分を出してしまった事に照れたのか、急に冗談に持っていく。


「それ、全部店の食洗機にぶっ込むから置いといていーよ」

「じゃあ食洗機に入れられないのだけ…」


と言って洗おうにも、まだその腕をほどいてくれない。

それどころか、また少し力を強めて抱きしめてくる。


「北山さん…これじゃ洗えないです…」

「もう少しだけ、このまま」


背中に感じる北山さんのぬくもりが心地よくて、つい目を閉じた。


「ずっと中途半端でごめんなさい…」

「いや…急かして適当な答え出される方が嫌」

「そんな事しませんよ」

「ほんとにーーー？？」


って私の両頬をつまんだ。


「もうっ！」


ははって笑いながらその腕はほどかれ、冷えていく背中が少し寂しかった。

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