愛されたいのは

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よし、乾いたってドライヤーのスイッチを切ってテーブルに置くと、座ってって意味でソファをポンポンってした。

そして少し俯く私の顔を下から覗き込むようにして見る。


「見ないでください」

「どうして？スッピンかわいいよ」

「も、ホントやだ」


って顔を手で覆うとふふって笑って


「さっきまでの強気な女の子はどこに行っちゃったかな」


ああ、ほんとに。

さっきまでの私は何をいきがってたんだろう。

自分が恥ずかしい。


「俺はもうシャワーしてるから。おいで、歯磨こっか」


太輔さんは必ず「おいで」って言って一緒に何かをしてくれる。

その度に安心する事を太輔さんは知らないでしょ。









お互い歯も磨き終わり、鏡の前で横並びになると、鏡越しに目が合った。

すこし不安げな表情の私を見て優しく微笑む太輔さん。


「寝よ」


って私の手を握って寝室へと歩き出した。

心臓がドキドキしてもう口から飛び出そう。

少し…怖い。

太輔さんは寝室のドアを開け、部屋の電気はつけずにサイドテーブルの明かりをつけた。

私も部屋に入り寝室のドアを閉め、ゆっくり太輔さんの方に歩き、その背中にピトッとくっついた。

すると太輔さんもこちらを向いて正面から私を抱きしめると、そのままゆっくりとベッドに横になった。


「寒いからベッドの中に入ろう」


まだ温もりを感じないベッドの中はとても冷たかったけど、二人で入るとすぐにポカポカしてくる。







ああ、私これから太輔さんに抱かれるんだって思うとものすごく緊張する。

…………そう思ってたのに。

おでこにチュッてキスすると「おやすみ」って行ってベッドから出た。

私は体を起こし、


「太輔さん…」


って名前を呼ぶと、今度はベッドに座り話し始めた。


「俺はね、ちゃんと俺の事が好きなAちゃんを抱きたい。だから今日はしないよ」


さ、ベッドに入ってって言う、どこまでも優しい太輔さん。


「太輔さんはどこで寝るの…？」

「ソファベッドなんだ、あれ。渉がしょっちゅう泊まりに来るから」

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