#067 ページ18
「そ、そういえばジョンハンさんバンドやってたんですか?」
JH「バンド…?何だっけ。」
なんとも言えない気まずい空気からなんとか頭を回転させて、さっきミンギュくんが言っていた事を思い出す。
私の言葉を聞いたジョンハンさんは本当に思い出せないみたいで首を傾げている。
「文化祭で有志で出てたってミンギュくんが言ってましたよ。」
JH「あー、それか。」
「楽器できるなんて知らなかったです。」
聞くところによると、ジョンハンさんはベースをやってたみたい。
ジスさんたちと去年文化祭でやったんだけど、文化祭でしかやってないから忘れてたらしい。
JH「…そういえばまだ言ってなかったんだけどさ、」
「なんですか?」
ジョンハンさんは一つ、呼吸を置いてから私の目を真っ直ぐ見つめて言ってきた。
JH「俺、今年いっぱいでバイト辞める。」
「…そ、ですか。」
来年からジョンハンさんは社会人になる訳なんだから、いつまでも今の状況でいられるとは思っていなかったし、いつかバイトだって辞める時が来るんだって、それは前々から分かっていたんだけど。
いざ、こうやって突然その時が来ると、言いようのない寂しさが私を襲ってきて何と返せば良いのか分からなくなる。
「…店長にはもう言ったんですか?」
JH「内定貰った少し後に、店長には言った。」
「そうだったんですね。」
ジョンハンさんの顔を見るのが怖くて、顔を見たら泣いちゃいそうで、そしたらまたジョンハンさんを困らせてしまうから膝の上で握りしめた自分の拳を見つめながら言った。
「それにしても、本当にもう社会人って感じですね!かっこいいなぁ。」
JH「…」
「会社入ったらお給料今より上がるんですよね?そしたら、またご飯連れてってくださいよ。」
JH「A。」
ジョンハンさんにそんな風に、優しく名前を呼ばれたら思わず口を噤んでしまう。
JH「A。」
「どうしたんですか?」
JH「こっち見て。」
恐る恐る目線を上げると、見たことないくらい優しい顔をしたジョンハンさんがいて。
JH「Aが本当はどんな事考えてるか、俺には分かるから。だから、無理すんな。」
「……本当はやっぱり、寂しいです。」
よく出来ました、って私の頭を撫でるジョンハンさんの手が全てを包み込んでくれるみたいで視界が霞んだ。
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作者名:ぽんた | 作成日時:2020年3月2日 12時