【文スト 】お父さんの馬鹿

お迎え ページ10

足をぶらぶらさせてボケっとしているうちにもう退社時間らしく。









｢今日はありがとうございました!｣









頭をぺこりと下げ、治さんと帰る









治さんと和気藹々と話していると









｢おい!｣









急に私たちを呼び止める声が聞こえる









｢こんな所にいたのか、よーー｣









中也さんが私の隣の人をみて顔を歪める









｢何で手前がいる、太宰。｣









｢やぁ、中也じゃないか!｣









まともな会話ができないと判断した中也さんは私の手を引く









｢あ、治さん!今日はありがとうございました!｣









またおいで〜、と手をひらひらさせながら笑う治さんを見たあと中也さんの方を向く









｢どうかしたんですか、中也さん｣









お父さんが探せ、なんて言うわけないだろうし。









｢……姐さんが手前を見てねぇから探してこいってな。相当心配してるぞ｣









ほら、ね。お父さんじゃないでしょ。









でも、紅葉さんが心配してくれたのは素直に嬉しい。









｢そうですか。ご迷惑をおかけしてしまい、ごめんなさい。｣









気にすんな、と頭をぽんぽんしてくれる。









中也さんはお父さんというよりはお兄ちゃんみたいだな。









多分言ったら怒られるから言わないけど。









｢ほら、姐さんのとこ行ってこい。｣









中也さんに背中を押され紅葉さんの元へ向かう。









ｺﾝｺﾝ









｢紅葉さん!Aです!｣







ｶﾞﾁｬ




｢帰ったかえ｣









顔を覗かせ中へ招き入れる









｢今日はここで寝ると良い。｣









｢……え?｣









急にそんな提案をする紅葉さん









｢なんじゃ、嫌なのか?｣









｢い、いえいえ!滅相もない!｣









寂しい私の心を汲み取って泊めてくれるのかな









優しいなぁ。









お母さん、とかはこんな感じなのかな









まぁお父さんもあんな感じな私には家族なんてわからないけど。

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