【文スト 】お父さんの馬鹿

外の世界 ページ8

用事があるからと言って逃げてきた私に勿論用事などなく。









暇である。









部屋に戻って勉強するのもありだけど、









お父さんの怖かった顔がちらついて集中できなさそうだ。









ーー外にでも出よう









軽い家出のつもりで。









きっとお父さんは私が居ないことに気づかないだろうし、もし気づいても探さない。









エリスちゃんがいなくなったときはあんなに焦って探すくせに。









財布を持って外に出る









｢ーー、わぁ。｣









いつも室内にいる私にとって









空、というものはとても綺麗で









汚れた心が洗われるような気持ちになる









探してくれるといいなぁ。なんてくだらない希望を心の片隅に浮かべ歩き出す









自分で言うのはなんだが私は賢い、と言われる割には世間知らずなのだ









マフィアの子供だし、外に出るのは許可がいる









だから、あまり外にはでない。









今日は少しの反抗として無許可で出たけどね









｢Aちゃん……?｣









｢治さん?｣









久しぶりの顔に出会う









お父さんの右腕とも言えたであろう元最年少幹部。









｢お久しぶりですね、お変わりありませんか?｣









社交辞令をして









｢あぁ、Aちゃんも元気そうで何よりだよ｣









社交辞令が返ってくる









｢どうせ家出でもしてきたんだろう?良かったら街を案内してあげるよ｣









この人は何でもお見通し









王子様のように伸ばされた手を









お姫様のようにとる








｢お願いします｣









あれ、そういえば治さんお仕事は?









そう問えば、わかりやすく目を泳がせる









｢やっぱり何でもないです、行きましょう。｣









うふふ、と笑えば









太宰さんは私の腕を引く









父と出かける、というのはこういうかんじなのだろうか。









もしそうなら、とても楽しいだろうなぁ。









………………

hit、ランキング、お気に入り、評価ありがとうございます！




期待されると胃がキリキリしますね笑




これからも是非読んでいってくださいね!

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