【文スト 】お父さんの馬鹿

素敵な絵 ページ7

クレヨンでお絵かき帳に絵を描くエリスちゃん









私は横でもらったお絵かき帳とクレヨンを見つめる









何これ気まずい









描くこともないし。









エリスちゃんとお父さんのツーショットでも描こうかな









黙々と描き続ける









｢できたっ!｣









エリスちゃんの可愛い声が部屋を満たす









｢何を描いたんですか?｣









そう聞くと、嬉しそうにお絵かき帳を私の方へ向けた









｢っ、｣









｢Aと、リンタロウ!｣









裏表のない純粋な笑顔を私に向けてそんな夢みたいな絵を見せてくれる









｢Aは何を描いてるの?｣









こちらにきて、ひょっこりと顔を覗かせる









｢わかった!私とリンタロウね!｣









とても嬉しそう









｢良かったら、受け取ってくれますか?私からの些細なプレゼントです｣









そう言うともっと顔を輝かせて









｢じゃぁ交換しましょ!私のも受け取って!｣









うん、と言いながら交換する









子供だから、お世辞にもうまいとは言い難い絵









それでも、こんなに温かいのは何故だろう









｢私ね、いつかリンタロウとAが一緒にお出かけするのが夢なの!｣









少し目を見開く









｢ね?だから、早く仲直りしてね｣









仲直り?









エリスちゃんは、私とお父さんが喧嘩していると思っているのか









なんだ、エリスちゃんは私が思っているよりも良い子じゃないか









自分の心が汚れていることを痛感する









｢そう、ですね。エリスちゃんが応援してくれたら、きっと仲直りできますよ。｣









｢じゃぁ私一生懸命応援する!｣









ありがとうございます、と言おうとすると







部屋の戸が開く









｢エリスちゃん、おやつを食べようーー｣









お父さんだ









｢何をしているんだね、君｣









｢Aと遊んでいたの!見て、この絵。描いてくれたのよ。Aと一緒にお菓子を食べる｣









私を睨むお父さん









一応私、娘なのだけれど。









｢い、いえ。私はこのあと用事がありますから、失礼しますね｣






えぇ
と駄々をこねる彼女をおき、部屋から出る









お父さん、怖かったな。

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