【文スト 】お父さんの馬鹿

エリスちゃん ページ6

夢を見た









昔、お父さんと遊んだ楽しかったあの時の事









ーーなんて事はなく。









父と遊んだ事は無い。だからそんな夢を見る事はない。




だって、何するかわからないんだもの。









だから、私が見た夢は父がエリスちゃんと遊んでいる夢









エリスちゃん、ケーキは?

エリスちゃん、このお洋服どうかなぁ。


エリスちゃん、私と一緒にお出掛けしようか









違う、その場所は私が居るはずの場所でしょ









嫌いよ。





お父さんも、私の居場所をとるエリスちゃんも、お父さんに好かれない私も。









みんな、居なくなれば良いのに。









ゆっくりと目を開ける。









まだ、朝の4時









少し早いけど、お風呂に入れば時間が経つだろう









ぐらぐらする頭を抑えながら湯を浴びる









水が傷口にしみてひどく痛い。









もう、慣れてしまったのだけど。









さっぱりした後は、傷口に包帯を巻いた。








万一、血が滲んでも黒だとばれない。









だから、黒は好き









ｶﾞﾁｬ








静かに扉を開ける、と









｢A｣









｢……エ、エリスちゃん?｣









腕をがっしりと掴まれ歩き出す彼女









｢ちょ、ちょっと。何処に行くんですか?｣









｢良いからついてきて｣









はい。









私と違って、綺麗なお洋服。









あ、別に私のお洋服が汚いってわけではなく。









それに、自分の服は気に入ってるから良いし。









ｶﾞﾁｬ









｢ここは、｣









エリスちゃんの部屋。









何故に。









｢遊びましょ、A｣









にっこり、と可愛らしい笑顔を浮かべるエリスちゃん









嗚呼、お父さんはこういう顔が好きなのだろうな









何時も良い子の仮面をかぶる私より









こういう素直な顔が。









ｷﾞﾘ、と歯噛みする









｢……うん。｣

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