【文スト 】お父さんの馬鹿

番外編 この温もりを ページ41

｢うむ、似合っておるぞ｣







にっこり、という効果音が付きそうなくらい微笑むのは紅葉さん









昨日父と約束したお出かけ、をします。









服はいつも通りで良いと思ったんだけどな。









紅葉さんに軽く着せ替え人形にさせられた。









｢紅葉さん、ありがとうございます。行ってきます!｣









長い廊下を走り出せば楽しんで来るんだぞ、と言ってくれた。









父の部屋の扉の前に立ち、ノックをしようとする。









やはり、トラウマというのはそう簡単に消えないというか。









伸ばした手が震えて、もしかして夢だったのかも、なんて頭も真っ白くなる。









やっぱり帰ろう。









自分だけ浮かれて馬鹿みたい。









そう思って扉に背を向ける









ｶﾞﾁｬ









｢A?｣









肩を小さく揺らし笑顔を貼り付けて振り向く









あの、と声をかけようとする









｢良かった、今から行こうと思ってたんだ。さ、行こうか!｣









ぽん、と頭に乗った父の温もりを感じて夢ではない事を実感する









｢お、お父さんっ｣









ん?と言ってしっかりと私の顔を見てくれる









あぁ、彼の視界に入れるなんて。









｢てっ、手を。繋いでほしい…です｣









声がどんどん小さくなっていったのは言うまでもないだろう。









ふふっと笑う父









｢ほら、おいで｣









私が大好きな温かい笑顔で手を伸ばす









控えめに手をのせればぎゅっと強く優しく握られる









心が、温かい。









ーーーーーーー

まだ続きます。笑
コメントありがとうございます!!
返せていませんが全部読んでいます
リクも頑張って消費せねば笑

番外編 不幸な体質→←番外編 エリスちゃんと

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す