【文スト 】お父さんの馬鹿

さようなら ページ26

｢誰か、誰か来てっ!｣









目の前で叫ぶエリスちゃん









｢どうして私をそばに置くの？…どうして私を捨てたの?｣









ばたばたと足音を立てて医者がやってくる






｢こんな思いをするくらいなら、もっと遠くに捨ててくれた方が良かったっ!!｣









A、Aっ









エリスちゃん、貴女の事は嫌いよ









でも、大好きなの









｢いらないなら何故私に名を与えたのっ?｣









Aちゃん、落ち着いてっ









そう言う医者の声なんて私には届かない









｢私が憎いなら何故殺 してくれなかったの!!!｣









そういうと同時に首領がはいってくる









首領の方は向かない









もう、疲れたんだよ？









仮面をかぶって良い子を演じても









貴方はちっとも振り向いちゃくれなかった









我儘だってわかってるよ









それでも私は…









｢ねぇ、殺 してよ｣









幼子が母親にこれ買って?









と言うかのように自然に言う









皆の息を呑む音が耳に入る









｢もう疲れちゃった｣









気持ちとは裏腹ににっこりと笑って首領を見る









｢体も心も痛いの｣









あぁ、敬語も使えないのかって怒られちゃうなぁ









｢ねぇ、お願い。殺 して｣









果物ナイフの刃の部分を持ち、柄の部分を渡す









手が切れてるけれど、もうどうでもいいや









薄く笑って正面を向く









首領が果物ナイフを振り上げるのが視界の隅に写った

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