【文スト 】お父さんの馬鹿

映像 ページ25

目の前でせっせと手首に包帯を巻いてくれる
可愛い女の子









正直今は誰とも会いたくなかったのだけれど









可愛いから許そう









｢できたわよ｣









ふふん、と自慢げに腰に手を当てていうエリスちゃん









｢ありがとうございます。｣









あ、お礼を言われてとても嬉しそう









｢今日はどうしていらっしゃったんですか?｣









そう問えば暗い表情になる









｢ねぇ、A本当に覚えていないの?私の事も、リンタロウの事も。｣









リンタロウ、とは首領の事だろうか









随分と親しいんだろうな









何故だか心がきゅっと締められるような痛みを感じた









｢はい…ごめんなさい。｣









｢あのね、Aとリンタロウは……｣









そこまで言って口を噤む









言う事を誰かに止められているのだろうか?









｢私と首領が、なんですか?｣









困った、考えるような表情をして









そのあと、眉を下げながら









｢ううん、何でもないわ｣









ねぇ。貴女と首領、そしてマフィアのみんなは何を隠しているの?









私が気づかないわけないでしょう









｢そっ、か｣









暗い雰囲気をどうにかして拭おうとする









｢そうだ、さっき紅葉さんが果物を剥いてくださったんです。一緒に食べませんか?｣









子供らしい笑顔を浮かべて頷くエリスちゃん









でも、その裏に隠れている何か。









｢ねぇ、A｣









リンゴを食べながらエリスちゃんが呼んでくる









｢なんですか?｣









首をかしげればとても不安げな顔をする彼女









｢Aは私の事が、憎い?｣









｢何故、ですか?｣









この子は私が憎むような事をしたのだろうか?









｢……やっぱり何でもないわ。気にしないで｣









頭が痛い









それも、我慢出来ないほどに








ｶｼｬﾝ









｢っ…｣









痛みに耐えきれずフォークを落としてしまう









｢A!?どうしたのっ!?｣









映像が流れてくる









首領とエリスちゃん。







冷たい目を私に向ける首領









部屋で静かに泣く私









｢な、んで｣

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