いちばんのバケモノ【QK】

涙のワケはプリンじゃない ページ38

(fkr side.)





『〜〜こうちゃんのばかっ！！』


ﾊﾞﾀﾝｯ!!


こ「え、Aさん！？」


Aが大きな音を立ててドアを閉め、部屋を出ていった。


こ「Aさん…？」


山「あらら…」


川「どうしたんやろ」


須「Aでも怒ることあるんだな」


福「それにしても、あそこまで？」


伊「怒ってる、っていうか…」


河「…」


こ「あぁぁ…ホント何やってんだ俺…」





それは、ほんの10分前のこと。



こ「あれ、このプリンって俺のですかね？」


冷蔵庫を開けたこうちゃんが皆に問う。


山「そうなんじゃない？」


こ「あと1個っぽいです。…あ、これもしAさんのだったらどうしよう」


Aは今日の撮影には少し遅れるらしく、もうすぐオフィスに着くみたいだ。


伊「大丈夫だろ。Aはあんまり怒りっぽい性格じゃないし」


河「その時はその時で僕が買ってくるから。」


福「河村、甘やかしすぎ」


河「ソンナコトナイヨ」


こ「ふふ笑 じゃあ、このプリンいただきますね」


そう言ってこうちゃんが蓋を開け、1口目を飲み込んだ時。


『おつかれ。遅れてごめんね〜』


Aが執務室に入ってきた。


なんだか表情が暗く見えるが、気の所為だろうか。


伊「おつかれ」


こ「お疲れ様ですー」


『……え』


プリンを頬張るこうちゃんを見たAはその場で固まり、大声で言った。



『…なんで私のプリン食べてるのっ！！』



あまりの声の大きさに、執務室に居た全員がビクッと肩を震わせる。


そして、こうちゃんはさらに目を見開き困惑。


こ「え、あ、Aさ…」


『わたし、わたしっ、今日そのプリン楽しみにしてたのに！オフィス着いたらっ、すぐ食べるはずだったのにっ…！』


涙声でそう口にするA。


やっぱり、Aの様子がなにかおかしい。


こ「あ、ご、ごめんなさいAさん。俺…」


その時、ついにAの目から涙が溢れた。


伊「ちょ、A…？」


『…っ、なんでも、な』


須「なんでもないことないだろ、どうした？」


『ちがう、これは、その』


こ「Aさん、あの…」


『〜〜こうちゃんのばかっ！！』





そして冒頭に至る。


Aがあんなに大声で怒ることなんて、今までで一度もなかった。


伊「怒った理由、多分こうちゃんじゃない。」


こ「え…？」


福「…そのプリンじゃない、よね」


河「他に何かあったんだよ。僕、訊いてみる」





Aに、何があったんだろう。

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