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ページ27

「……あ……そうだ……」





私は大切な事を思い出す。





今日は6月3日。





すとぷりが解散する日だ。





「動画……!」





私はスマホを取り出して、なーくんのTwitterを開く。





『すとぷりから大切なお知らせ』





変わらない動画のタイトルに、胸が締め付けられる。





この未来は変わらなかったんだ。





莉犬
「動画、見て」





莉犬くんが言った。





「え……でも……」





躊躇う私の代わりに、莉犬くんが再生ボタンを押した。





ななもり。
『こんばんは、すとぷりです。

今日は皆に報告があります。

すとぷりは……』





変わらない風景。





畏まって座るメンバー達。





低い声で喋るなーくん。





次の言葉は





聞きたくない





ななもり。
『すとぷりは





明日、とんでもない新曲を投稿します!』





「……えっ……」





私は隣にいる莉犬くんの顔を見る。





莉犬くんは微笑んでいた。





莉犬
「俺決めたんだ。

これからもすとぷり続けてくって」





「どうして……?」





莉犬
「俺、記憶はなくなってたけど、一つだけ覚えてた事があったんだ」





「覚えてた事……?」





莉犬くんが、私の手を強く握った





莉犬
「"私はずっと莉犬くんのファン第一号だから"って

名前も顔も思い出せない、誰かが言ってくれた言葉。





俺の事、支えてくれて、応援してくれる人がいるんだって思ったらさ

この世界、簡単に捨てられないなって」





その言葉に、私は胸がいっぱいになる





5年間、ずっと覚えててくれてたんだね





「ありがとう……莉犬くん」





私は莉犬くんの手をぎゅっと握り返した





5年前と同じように





私達は手を繋いで空を見上げる




あの時ほど星ははっきり見えないけど





一瞬大きく瞬くひとつの星が





私達に笑いかけているような





そんな気がした

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設定タグ:すとぷり , 莉犬くん , stpr   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:ニートになりたい | 作成日時:2021年6月29日 14時

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