愛が39こ ページ11
歌詞太郎side
お忘れの方もいるであろう、あの事件から、僕は未だに澄桜さんに会えずにいた。
否、会うことが出来なかった。
それは何故か?
まふくんが会わせようとしてくれないからだ。
まふくんが澄桜さんに執着しているのは誰が見ても一目瞭然。そんなことわかり切ってる。
けど、一度でもいいから、自分の口で、ちゃんと彼女と会って、「ごめんね」が言いたかった。
天月くんは、僕の気持ちを代弁して、澄桜さんに謝ったそうだけど、僕自身が許しを乞うたわけじゃない。
まふくんは、口では許してると言っても、きっと本当は許してなんかないだろう。
僕達の謝罪は建前だと思っているのかもしれない。勿論、そんなことはない。本当に謝りたいと思ってる。
………本当に、もう、彼女と会えないのだろうか。
嫌だ。せめて、せめて謝りたい。謝ったらもう二度と会えなくてもいい。
そんな思いを込めて、もう何度目になるのかもわからない通話ボタンを押す。
プルルル…プルルル…
ま『もしもし。』
歌「あ、えっと、何度もごめんね。」
ま『……いいえ。』
流石に怒っているだろうか。
電話越しに聞こえるその声は、いつもより少し低いように感じる。
歌「あの、怒ってるかも知れないけど、やっぱり、僕、澄桜さんに直接謝りた」
ま『もういいです。』
歌「……え?」
ま『もう家にA……澄桜はいませんよ。』
歌「え、どう、ゆう」
言っている意味がわからない。
も う ま ふ く ん の 家 に い な い ?
どうして?
二人ともあんなに仲睦まじく一緒に過ごしていたのに、どうして?
何があったのか恐る恐る聞いてみると、まふくんはぽつぽつと語ってくれた。
歌「そんな…そらるさんが…」
ま『俺も、信じたく、ないんだけどね。』
今にも泣き出してしまいそうな声に、ぐっと来てしまう。
ああ、そうか。
彼はこんなにも弱かったんだ。
知ってたことじゃないか。彼が過去にどんな辛い経験をしていたのかも、彼自身から聞いたじゃないか。
怖がる必要なんて、ないじゃないか。
一番辛い思いをしているのは、彼じゃないか。
歌「まふくん、安心して。」
それなら僕は、
歌「僕がなんとかしてみせる。」
彼の手となり足となろう。
僕はもう、逃げたりなんかしない。
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りこ - 作者様にも事情があると思うので、気が向いたらまたかいてくださいね♪ (2020年10月14日 18時) (レス) id: 0909783799 (このIDを非表示/違反報告)
nerine(プロフ) - とても、楽しく読ませてもらいました。作者様にも色々事情があると思いますので気が向いたら、続き更新して頂けるととても嬉しいです。←何様。応援してます! (2020年3月15日 15時) (レス) id: b9ed9857b8 (このIDを非表示/違反報告)
たそ - らって書いてくださっているわけではありません。もちろんお金を貰っているのならそれは仕事、という区別になりますから書いてもらわなければならなくなります。しかしこれは仕事ではない。従って私達が最初から書くな、等のことを言うのは違うのではないでしょうか。 (2019年3月23日 15時) (レス) id: 4599e4e8f8 (このIDを非表示/違反報告)
たそ - 皆さん自分勝手過ぎませんか?確かにこの作品はとても素晴らしいもので続きが気になるのはとてもよく分かります。ですが作者様にもプライベートというものがあるわけです。作者様が今どのような状況であるのかわかっていない私達が口を出すのはおかしいですし、お金をも (2019年3月23日 15時) (レス) id: 4599e4e8f8 (このIDを非表示/違反報告)
ユイ2号車に乗車中(プロフ) - 終わりなんですか? (2018年4月1日 22時) (レス) id: 82a88302b7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まぁふぅ@汚濁 | 作成日時:2016年3月20日 20時