魔法科高校の劣等生 (ページ48)

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「お兄様、今日はAが泊まります。よろしいですよね？」

「…俺は別に構わないが
そういえば明日一緒に行くんだったっけ」

「はい。お兄様の起床時間を伝えると即答で不可能だと返ってきたので、一泊くらいなら泊まったらどうかと、私が提案したんです」

「Aなら出来そうだけど」

「朝は弱いようですよ」

全てが完璧に見える彼女でも、弱点はあるものだ
一体、お兄様はAを何者だと思っているのだろうか

「そういえば、コーヒーを淹れておいたのですが」

「ありがとう。貰えるかい？」

今の時代、人力で豆を挽いて飲む人は少ない
ホーム・オートメーション・ロボット(HAR/ハル)が普及している先進国では台所に立つ女性が格段に少なくなっているのだ
本格的な料理以外は、余程の趣味じゃない限り自分の手を使う者はいない

友人が来たときは大体HAR任せだが、お兄様と二人のときは決して手間を惜しまない

お兄様も深雪のコーヒーを気に入ってくれている
コーヒーを人力にする訳はお兄様にあるのだが、当の本人は気付いていないようなので、お兄様の鈍感さには微笑ましいが時々、歯痒くなる

まあ、お兄様の「美味しい」という一言とお顔だけで許してしまう私も私なのだが

自分の分のコーヒーを飲み干すと、友人の為に振る舞う夕食の準備にとりかかった