もう1人のマイキー【東卍】

39話 blood of halloween ページ42

マ「A……？」


『……万次郎』



オレが目を覚ました事に驚いているのか、その場に立ちすくんだまままばたきを何度もする万次郎。手にあるのは、万次郎の好物であるたい焼きやどら焼きではなくシュークリーム。



『おっいいモン持ってんじゃん』



嬉しそうな顔で笑うAの近くまで来たマイキーは、無言で俯いたまま。どうした？と声をかけるも微動だにしない片割れに、さすがに心配になる。すると、何かがマイキーの顔からこぼれ落ちていく。ぽた、ぽたと雫がこぼれ落ちるのを見て、慌てて万次郎、と声を掛けながら手を伸ばせばぐいっと左腕が引かれそのままマイキーの腕の中へとおさまるA。その拍子にズキリと痛む腹に顔を歪めるが、この状態で痛い、なんて言えるはずもなく。万次郎ごめんな、と言えば、抱き締めてくる腕の力が少し強まる。




『(オマエが一番つらかったよな…)』




だって、もしオマエがオレと同じ境遇だったとしたら、きっとオレは耐えられない。0距離だからこそ、マイキーの心臓の音がよく聞こえる。とくんとくんとリズムを刻む音に、Aも気付けば涙を流していた。



マ「…泣いてンの？」


『…泣き虫万次郎くんに言われたくないデース』


マ「ははっ、うっせ」



落ち着いたのか、腕を緩めるマイキー。改めて、お互いの顔を見つめ合うと、マイキーの目尻は赤く満足に眠れなかったのかうっすらとクマが出来ていた。その痛々しい様に、ズキリと刺された部分以外の箇所が痛む。するりと目元を触れば、普通の人より体温が低いAの手が気持ちいいのか、猫のように手に擦り寄ってくる。



『…退院したらさ、しばらく一緒に寝てよ』


マ「は〜？甘えたかA〜？」


『嬉しいくせに！』



そういえばまたうるせぇ！と返してくるマイキーの顔は、笑顔で溢れていた。その後万次郎とそのまま話していると、オレが目を覚ましたことを聞きつけたのか、ケンチンや場地、千冬に三ツ谷、タケミっちなど仲の良いメンバーが続々と駆けつけてきた。圭介は顔を見るなり、怪我人のオレを容赦なく殴ってきたが(バカかアイツ？)それ以降はオレが退院した後も、甲斐甲斐しくオレの面倒をよく見てくれた。きっと圭介なりの恩返しなのだと思う。ちなみに病院内の冷蔵庫には、毎日シュークリームが飽きるほど入っていて、ちょっとだけこの生活も悪くねーな、なんて思ってたりして



『(みんな、ありがとな…)』






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血のハロウィンこれにて完！

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