もう1人のマイキー【東卍】

15話 オレたちの勝ちだ ページ17

タケミチとキヨマサがタイマンをする事により、Aは5人を相手にする事になる。自分達より小柄な上に1人vs5人。舐めてかかるのは当たり前で、勝てるわけがないと5人揃ってニヤついた笑みを浮かべている。さすがにお子様相手に全員でかかるのはかわいそうだろ〜など好き勝手話しているので、『あのさぁ、』とAが声をかける。



『面倒だからお前ら全員で来てくんない？』



きょとん、とした後ぶはははっ！！と笑い始める。おいおいあんまり強がると痛い目みんぞ〜！？と言いながら近づいて来た男をAは一蹴した。瞬間、笑い声はぴたりと止み、地面に伏している仲間を凝視する。すると奥から「おいお前ら〜」とドラケンが声をかけてきた。



ド「言っとくけど、ソイツ総長と双子」



総長…？つまり、あの無敵のマイキーと双子…？頭の中でサイレンが鳴り響く。伏している仲間からAへと目線をうつすが、先程までいた場所にいない。え？どこいった！？と思った瞬間下から突き上げてきた拳が見事クリーンヒット。後はもうその流れで左側にいるヤツを回し蹴りで倒し、そのまま後方の2人も瞬殺する。



『おいおい、仮にも不良やってる奴らがただの中学生に負けんなよな〜？』



そう声をかけるが、時すでに遅し。5人とも全員のびていた。いやお前と対等に喧嘩出来んのマイキーだけだろ…と内心で呟くドラケン。近くにあったナイフをえいっと手の届かない所まで蹴った後、タケミチの方を見る。あれだけ大口を叩いておきながら、想像以上の喧嘩の弱さに驚くA。しかし、その力強い目にひかれていく。なるほど、確かに兄貴そっくりだな…
ふっと微笑むのと同時に、タケミチがキヨマサの後ろに周り首にしがみつく。



ド「絶対離すなタケミっち！！」



うおおおおお！と叫びながら2人とも後転する。聞こえるのは雨の音とタケミチの息遣いのみ。勝った…？と仰向けに呟くタケミチにAは手を差し伸べる。



『やるじゃん、タケミっち！』



にかっと笑いながらカッコよかったぞ！と褒めれば、少し照れ臭そうにへへ…と笑うタケミチ。



タ「！って、あれ！？もう倒したんすか！？」



５人もいたのに！？と驚くタケミチを他所にドラケンへと近付くA。



『ケンチン！大丈夫か！？』


ド「おー……ありがとな、A」


『バーカ礼なんていらねーよ』



Aの言葉を紡ぐように遠くから救急車のサイレン音が聞こえてきた。

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