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≪風柱 不死川 実弥 視点≫


湯浴み中に逆上せたAに向かって
うちわで風を送る


こいつが倒れたときは驚いた
服を着たまま湯浴みしてたから
一度服を脱がせて新しい寝巻きに着替えさせた

同意がないのに、こいつの裸を見るのは悪いと思ったが緊急事態だったからしょうがない、…と思う…



しばらくするとAが目を覚ましたから粥を作るといってAを1人にした

どのくらいだろうか
粥が完成してAの元に運ぶと外の扉が空いておりAは居なくなっていた

すーと全身が冷たくなる




「A!」



粥をおいて厠や家中を探す
履き物も着物もある

でもAはいない

誰かに拐われた

そうも思ったがAが先程まで寝ていた布団は綺麗に畳んであった




あいつのいつもの癖


″今までお世話になりました″
そう言われてる気がした






「あーあ…やっぱダメだったかァ…」






あいつの首元に俺がつけたよりも大きな跡があるのには気付いてた




『不死川さん』






「好きな奴でもできたのかよ…」




精一杯大切にしたつもりだった

Aにもう一度好きになってもらえるように


思い出してもらえるように







「夢みてェな時間だったな…」




もう会えないと思っていたAと会うことができた

一緒に暮らすことができた


一緒に笑うことができた



結婚したらこんな感じなのか、って毎日

毎日、想像して幸せだった





鬼のいないこの世界が
よりいっそう幸せだと、大切だと気づくことができた









好きな奴がいるなら言えばいい



「いや…言われたら耐えられねェか……」




なにが可笑しいのかわからないが
はは、と乾いた笑いが出てくる




夢のような日々は一生忘れない

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作者名:りん | 作成日時:2019年11月19日 22時

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