水と風は～その後～ (ページ29)

今日:2 hit、昨日:0 hit、合計:14,895 hit

鮭大根ページ29

≪漣 A 視点≫

「義勇ちゃんのお嫁さん！」

あれからと言うものの私はこの村でそう呼ばれている

違いますよー。と否定しても否定しても一向に訂正はされない

「今朝、主人が漁に出て立派な鮭が捕れたの！
少し持っていくかい？」

「いいんですか？」

「もちろんよ」

この村の人はみな暖かい
無愛想で口下手な冨岡さんもこの村では認められ愛されている

ここにきて半月
実弥の家を飛び出してきた理由も伝えたが

「くだらない」

そう一言いい、部屋をでていった

私が可笑しい？
でもくだらなくはないと思う

「冨岡さん、今戻りました」

畑にいる彼に声をかける

「お隣さんから立派な鮭をいただきました。
今日は冨岡さんの好きな鮭大根にしますか？」

勢いよく私のほうに振り向く

鮭大根には反応するのか…

嬉々とした目でこちらを見てくる

「畑の大根はまだ育ってないですよね？」

「…ああ」

ここの村でも大根はまだ売っていない
隣町には大きな八百屋があって大抵の野菜が売っている

「でしたら私、隣町にいって買ってきます！」

鮭が悪くならないように下処理をして

「冨岡さん、では行ってきます」

1人で隣町へでかける