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そんな祈りのような舞台がこのご時世の中無事に大千穐楽まで終える事ができて彼が戻ってきた
戻ってきたはずだった
彼は暫くは魂が抜けた･･･ううんまだあの人と共に生きているような不思議な時間を過ごしていたから
私は必要以上に彼の名前を声に出して呼んで
あなたはあなたでしかない事を
あの子たちのパパが彼しかいない事を思い出すように子どもたちの命を繋ぐお世話も彼にだけ任せていた
二人で一緒に家にいる時は
白いご飯を炊いて体に優しいおかずを作って横並びに座ってゆっくりと食事をとる
「美味いな」って彼が言ってくれたなら「ありがとう」って私が答える
大した話はしない
ご飯が終われば彼の爪弾くギターに耳を傾けながら家事をしたり子どもたちと遊んだりする
そして日付けが変わる前にみんなでベッドに一緒に入って眠りにつく
そんな日々を過ごす中
彼が部屋中に立てられていたイーゼルを片付け
たった一つだけ残したタブローに何とも不釣り合いな可愛い？イラストを書き上げて大きく伸びをして
「なぁA」
「髪の毛切ってくれへん？」
振り向きざまにそう言った
その声は紛れもなく章大さんのものでソファーお互い寄り添うように眠っていた子どもたちは飛び起きて章大さんの足元へと駆け寄った
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作者名：UTA
| 作成日時：2021年9月11日 5時
