お誕生日(青) (ページ9)

今日:2 hit、昨日:1 hit、合計:26,370 hit

9 ページ9

それから

エコバッグとケーキの箱を

私の大きめのトートバッグに放り込んで

肩に担ぐと違う方の手で私の腕を取り立ち上がらせた

「ケーキ潰れちゃう･･･」

って呟いた私に答えることもなく

何も言わずに

グイグイと私の手を引っ張って玄関に連れて行く

引きずられるように連れて行かれながら

このまま追い帰されるんじゃないかと

その場に踏ん張って抵抗する

「なんやっとんな」

「ちゃんと来いや」

って言う章ちゃんに

何も言えずに首だけ振って

そんな私をズルズルと引きずる章ちゃん

「やだっ！」

積み重ねて来た日が

こんな風に終わるなんて絶対嫌だ

やっとの思いで叫ぶ

私の声にびっくりした章ちゃんが立ち止まって

力の緩んだ手を振り払って

急いで部屋の真ん中まで戻る

「ちゃんと･･･」

「ちゃんと話してよ」

「･･･こんな･･･こんな･･･」

「･･･こんな風に･･･」

「･･･終わらせ無いでよ･･･」

やっとの思いでそう言って

床にへたりこんでしまった

私がこぼした赤ワインのシミがついたふわふわのラグ

二人で運んだ白かったはずのラグは

うっすらグレーともベージュとも言い難い色に変色してて

それでも私のお気に入りだったのに

今

私が座り込んでるのは

固いフローリングで

それがまた悲しくなって

涙が止まらなくなった