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章ちゃんが運転する車の助手席に座って
窓の外を眺める
家まで待ちきれずに買ったばかりのレモンサワーを
シーソーにまたがって二人で飲んだ小さな公園
閉店間際の安売りをめざして二人で手を繋いで行ったスーパー
章ちゃんのお気に入りの銘柄のタバコを買うために足をのばしたコンビニ
思い出のひとつひとつを辿るように車は進んで
「なぁ？」
「A？」
「なぁ？」
「聞いてぇやぁ･･･」
って章ちゃんが私に声をかけるけど
私はそれどころじゃなくて
溢れる涙を
込み上げる嗚咽を堪えるのに必死だった
そんな私に呆れたのか
章ちゃんは大きくひとつ息を吐いて黙ってしまった
窓の外を流れる景色が
私の家の方向とは全く違う
職場近くの見慣れた景色に変わって
私はどこに連れて行かれるのか
本当に分からなくなってしまった
それでも
黙ってしまった章ちゃんの顔がこわくて見れなくて
見なれた景色が流れて行くのを
唇噛み締めて見つめ続けるしかなかった
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作者名：UTA
| 作成日時：2020年9月10日 19時
