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彼女は自分の鞄から取り出した真空パックされたコーヒー豆のパッケージを丁寧に切って
コーヒー豆をミルの中にキチンと計って入れる
「目分量なんかでしたらあかんのやで」
そう優しく言ったたつの低くて甘い声が聞こえた気がして
そんなはずがない事は分かっているのに
思わず周りを見回してその声の主を探してしまう
ゆっくり丁寧に淹れられるコーヒー
たつがそこに立っているかと見紛う仕草と香り
彼女は最後の一滴が落ちるのを待って
洗いカゴから取り出した二つのマグカップと
そして食器棚から取り出した白いマグカップに注いだ
テーブルに運ばれた三つのマグカップを前に立ち尽くす僕に
彼女は
「ちゃんと美味しいうちに飲も？」
って静かに笑って
さっさと座ると白いマグカップに口をつけて
「美味しい･･･」
ってため息のように言った
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作者名：UTA
| 作成日時：2020年2月14日 5時
