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そんなある日
彼女が初めてお酒を持ってやってきた
「忠義が好きだった特別な日にだけ飲んでたお酒」
そう言って差し出したお酒は
たつがうちに来る時いつも持って来ていたお酒
決して高くはないけど
どこにでもは売ってないレアもんだって
得意そうにドヤ顔で笑っていたやつ
彼女には申し訳ないけど
僕といる時間が特別だったって事が知れて
すごく嬉しかった
その日二人でそのお酒を飲んだ
彼女はあまり強くないようで
あっという間に酔ってしまって
呂律が回らないしゃべり方で
「今日引っ越したの」
「忠義の抜け殻だけがある部屋で」
「一人で過ごすのは限界」
そう言って僕の前で初めて泣いた
たつがいない部屋で過ごせない彼女と
たつがいた部屋から抜け出せない僕と
どちらが深く傷ついているかなんて
比べようもないけど
彼女にとって
たつと僕の過ごしたこの部屋に来ることは
きっと想像を絶する辛さを伴っている事は分かった
それなのに
遺言になってしまった
たつからのLINEに縛られて
僕を必死で護り続けている
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作者名：UTA
| 作成日時：2020年2月14日 5時
