誕生日プレゼント2 (青) (ページ8)

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次に彼が来店された時に照れた笑顔で｢良かったら俺ん事知ってくれへんかなぁ｣と差し出された紙袋には何枚ものCDやDVDが入っていて
私は｢先日は･･･｣と言いかけて言葉をどう続けて良いか分からず口ごもってしまった
そんな私を見て彼は｢調べてくれたん？｣とちょっとイタズラっ子のように笑ってくれた
私は彼の差し出した紙袋をありがたくいただいてその中身を半分も見ないうちにファンクラブへと入会していた

その後も不定期だけど彼は来店してくれて
｢今は縛りあらへんからどんなんでもええねん｣ってまるまる私に任せてくれる事も増えてきた

テレビや雑誌で私が作り上げた髪の安田さんを見る事が私の密かな楽しみになっていった

ある日
小さな小さすぎる灯りに照らされた
プライベートの部屋の中インターホンの音が響き渡る

こんな夜中に気持ち悪くて暫く知らんぷりしてたけどあまりにしつこく鳴るから
仕方無く声を出さずにモニターを確認する

そこにはマスクも何もしていない安田さんが映っていた
驚いて｢ごめんなさい｣｢ご予約承っていましたか｣そう尋ねる私に
｢ごめんやけど顔さすと困るから開けてくれへん？｣って少し焦ったように安田さんが答える

ご予約の確認を見落とした？慌てて一階におりて店のドアを開けた

｢すみませ･･･｣私の言葉を遮るように体を滑り込ませてきた安田さんはそのまま私を抱きしめた

あまりに突然の事で言葉を失って固まってしまった私の背中を優しくさすってくれる
｢大変やってんなぁ｣そう言ったあと体を離して私の顔を見つめる安田さんの左手には真っ白な花のアレンジがあった

｢良かったらお線香挙げさせてくれへん？｣そう安田さんに聞かれて
初めて二階の居住スペースに促した

ろうそくとお線香だけに照らされた部屋に灯りをつけると
安田さんは祖父の遺影の前にきちんと正座し花のアレンジを手向けると静かに手を合わせてくれた