誕生日プレゼント2 (青) (ページ9)

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私は店でいつも炭酸水を頼む安田さんのために
グラスに炭酸水を注いでトレイにのせたらテーブルに運ぶ
何を思ってくれているのか長く手を合わせてくれている安田さんの背中に｢どうして･･･｣とたずねる

安田さんは私の方に向き直ると｢久しぶりに梶さんの店に行ったら梶さんが･･･｣

安田さんをこの店に紹介してくださった梶さんは祖父が現役の頃からの常連様だったから
一昨日まもなく日付けが変わろうかという時に亡くなってしまった祖父の事を連絡した一人だった

｢そう･･･｣

人あたりが良くて友人も多く常連のお客様とも懇意にしていた祖父
現役を退いて何年もたつのに梶さん以外にも連絡させていただいた方が集まってくださって
昨夜は一晩中祖父の眠る横で
闘病中は口に出来なかった祖父の大好きな銘柄のお酒を飲みながら
皆様が祖父との思い出を話されるのを聞いていた

今日の告別式を終えて家に戻ってからは
祖父以外の家族を持たない私は昨日の夜とは正反対の静けさの中で祖父の事を偲んでいた

安田さんが座ったまま私の方ににじり寄ってきてそっと私の手をとった
｢梶さんにちょっとだけ聞いた｣｢おじいさんたった一人の家族やってんやろ？｣そう言って真っ直ぐに私の目を見て

｢ちゃんと泣きや？｣｢ちゃんと泣かんと三途の川の水が少なておじいさんの乗った船が引っかかってあっちの世界に行かれへんよなるで｣
そう言ったかと思うと握りしめていてくれた手を引っ張って抱きしめてくれた

その暖かい腕の中安田さんの胸にすがりついて
私は祖父が亡くなってから初めて泣いた

安田さんは私が泣き止むまでずっと黙って背中を優しくさすり続けてくれた