耳元で歌わせて (赤) 6 (ページ10)

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ケーキを黙ったまんま彼女の方に押しやって

コーヒーを一口飲んだらヒナが

｢すばる？一緒に住んどっても出社は別々にせえよ｣

｢うちの会社は社内恋愛禁止ちゃうけどさすがに同じ部署にはおられへんから｣

｢二人とも専門職で入ってキャリア積んできてんのに｣

｢バレて一般職に異動なってやりたい仕事出来ひんなんてもったいないしな｣

｢通例から言うたら女の子が異動させられてるし｣

｢Aちゃんがせっかく頑張ってきたんがパァになんで｣

｢付き合うてるん絶対秘密にしとかんと｣

一気に話す

人事部に所属するヒナの発言は的を射過ぎてて

｢紗奈ちゃんや侑希ちゃんにもくぎさしとかんとあかんやん｣

ヨコからも言われる

｢小遣い稼ぎで夜の店で働いてるん会社にばらすで言うとけばあの二人は黙るやろ｣

｢明日俺がちょいと脅しといたるわ｣

ってヒナが悪い顔して笑う

｢こわいこわい｣

ってわざと大袈裟に言うて自分の体を抱きしめて震えてみせる

テーブルの下でAちゃんに足蹴られて

Aちゃんの顔を見たら

キッと睨まれた

Aちゃんはそれからヒナとヨコの顔を順番に見て

｢村上くん色々考えてくれてありがとぉ｣

｢村上くんも横山くんもこれからもたくさん助けてもらうことになるけど｣

｢よろしくお願いします｣

って頭を下げた

俺も慌ててAちゃんに合わせて

｢頼りにしてます｣

そう言うて頭を下げる

俺はAちゃんと一緒におれる幸せばっか思てたけど

職場恋愛ってややこしいんやなぁ