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「ぁ……」
傘を拾おうとしゃがみ込んだ時、とうとう力尽きて倒れてしまった
「…………」
「神威、実に見事だ。私は先に帰っておく、……Aを頼んだぞ」
「…はい」
そう言うなり、団長の鳳仙は自室へ戻って行った
神威がAの元へ駆け寄る
「A…ねぇ」
「……どうして、どうしてなの」
よく見ると、涙が零れていた
神威はAの泣き顔を見るのは初めてで、声を掛ける事に戸惑った
「…ッ………強く、強くなりたいッ…!!」
悔しそうに嘆くA
「誰にも負けない強さが欲しい、どうしたらもっと強くなれるの…?」
神威も欲しいと思っている“ 強さ ”
それは自分だけでは無いと知った
Aに歩み寄る
「…A、強くなる方法なんて俺にもよく分からない…だから一緒に強くなろう」
“ 誰にも負けない強さを手に入れよう ”
そう二人で誓った
いつの日かの幼少期
あれからまた月日が経ったある日
星潰しの仕事の時だった
その敵の武器がいつもの敵とは少し違っていて
弓矢や槍、爪などの武器を所持していた
無事星潰しが終了した時
Aはふと敵が使っていた武器の中の一つ
“ 槍 ” を手に取った
「…………」
今まで持っていた傘とは違って、軽くて振り回しやすい、それに自分は他の団員よりも日光には強い。包帯やフードを被っていれば多少日光に当たっていても大丈夫なのだ
良いな、と思ったその時
団長の鳳仙が来た
「A、それが気に入ったか」
「え、いや、その……」
「遠慮は要らぬ。その武器は“ 槍 ”というものだ」
「 “ 槍 ” ですか…鳳仙様、これは私にでも扱えますか?」
恐る恐る聞くと団長は
「うむ、月日を得て習得すれば必ずや自分の武器に出来る事だろう」
そう言った
そしてAの頭を撫ぜながら
「この世に不可能は無い、お前が目指す強さは何時しか手に入る。それまで鍛錬するのだ」
「!!…はいっ!!!」
それが、Aの武器だけが“ 槍 ”である理由だ
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作者名:まひろ | 作成日時:2017年10月31日 1時