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Aが春雨第七師団に入団してふた月程経った頃





夜兎は血で争う種族、力があってこそ戦える。
そこで身体能力を強化すべく、その時の第七師団団長“ 鳳仙 ”の指示で仲間同士で度々戦い合う事があった




その時Aと神威は、数々の第七師団の団員を次々と倒していき、上まで上り詰めた




神威は紛れも無い夜兎だ。当たり前に身体能力がずば抜けているが、Aはその血が半分しか入っていない、その上今まで沢山の団員を倒してきたAの体力はもう底をつきかけていた





これまでAは神威と同様、傘を武器にして戦っていた。だが力も無くなってきた今、傘を持つ事さえ難しいのだ









「はぁ…はぁッ……」



「こんなもので倒れる者は、例え童であろうと使いものにはならん。…もう終わりかA」



「ッ……まだやれます、」



「フッ…神威よ、次はAが相手だ」



神威も息は上がっているが、まだ動ける様子
しゃがみ込んでいるAを見て



「……ほんとにできるの?もう立てないんじゃ無いの」





Aの肩がピクリと揺れる
あの絶望の底から神威に助けて貰って、そこから神威を守れる位強くなろうと思って此処まで来たのに、此処で負けてしまったら自分の居場所が無くなる。そう思ったのか





「そんな事無い……まだ、戦えるっ!!」





ムキになって、神威に向かって走って行った




力を上手くコントロール出来ないのか、大振りになっているA




難無く交わす神威、そしてAに蹴りを一発入れる




それを交わせず壁に向かって飛んで行くA






「ヴッ…!カハッ、」




「…まだ止めないつもりなの?それ以上動いたらもう使えなくなるよ」




神威が言ったその言葉は、Aにはもう聞こえていない




「やらなきゃ、やらなきゃ…」




よろけながら立ち上がるA
だが、







カタンッ







今まで絶対に離さなかった傘を
遂に離してしまった。

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作者名:まひろ | 作成日時:2017年10月31日 1時

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