燕子花

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side青





会社までは車で15分くらい。




「おはようございまーす」



「おーなべおはよ〜」



「あ、ふっか。おはよ」





こいつは深澤辰哉。ふっかは一緒に会社に入った同期で、実は大学からの同級生。サークルも一緒で、これでも2人でブイブイ言わしてたんだぜ？笑





今はお互い、定職に就いてちゃんとした社会人やってんだけどさ。
実はあいつ、4年付き合った彼女に先月プロポーズして、来年結婚式を挙げるんだとよ。





「なべ、今日照と家行っていい？この前照と旅行行ってさ、そのお土産。渡したいなーと思って」





「ああ、わざわざ買ってきてくれたの？ありがとう」





「まあー、蓮ちゃんの喜ぶ姿見たいじゃん？」





「お前、蓮に会いたいだけだろ笑」





「バレた？笑」






照、っていうのも同期。部署は違うんだけど、ふっかの昔からの親友らしくて。その繋がりで俺も仲良くしてもらってる。






こいつら、揃いも揃って蓮にメロメロでさ。
何かと理由つけては蓮に会いに来てアホほど貢いで帰るんだよ。笑



ありがたいけどね。






「っしゃあ、これで仕事頑張れるわ！」




「単純だこと」




「蓮ちゃんは俺たちの天使だからね〜」




「馬鹿だなあ笑」






俺たちが働いてるのは、この辺ではちょっと有名な企業の営業部。毎日汗かきながら取引先回って契約取って、っていう日々を送ってる。

ちなみに照は経理部。





ここは福利厚生もしっかりしてて、子育てにも優しいんだ。
それで入社を決めたと言っても過言ではない。





定時近くになると、ふっかや部長なんかが話しかけてくれて、



「そろそろ帰らなくて大丈夫？息子さんのお迎えは？」



なんて。みんな俺がひとり親だってことを理解してくれてて、気にしてくれるんだ。





まだまだ蓮は小さいし、風邪ひいたりなんたりで保育園から呼び出しがかかる事もしばしばあるんだけど、その度に「いいから行ってきなさい」って送り出してくれる。





本当、職場に恵まれたよ。




もちろん、融通効かせてもらってる分、仕事中は誰よりも頑張ろうって気持ちでやってる。甘えるばっかりはだめだし。





「よし、そろそろ帰るか。」




今日やるべき分はちゃんと終わらせて、ありがたく定時で上がらせて頂く。今日はふっかも一緒だ。




「照、もうちょっとかかるらしいからあとから来るって」





らしい。いつも甘やかしてくれるふっかがいて、蓮のテンションも高いだろうな。

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