終焉の恋 【エルヴィン】

30.★正しい☆ ページ31

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兄さんに言われて嬉しかった







私には沢山味方がいたんだ







そんな浮かれている時、また
誰かに会った






『…………』







私は無視をしようとした







だって……会ったのは、紛れもない団長だった








団長は私を呼び止めた







「やあ、さっきモブリットと
話していたけど、何を話していたんだい？」







………まぁ、団長になら良いか…






今ヒカリの味方をしているとは言い難いし………





『兄さ…分隊副長にヒカリは
正しくない、正義が勝つって…』






団長は首をかしげた






「“正義”って…なんだろうな」






……？…団長は何を言っているんだ？







「せ、“正義”は“正しい”って意味です
…それがどうかしました？」






クスッと団長は急に笑う






やっぱりこの人は何を考えてるかわからない







「正義とは正しい…正解だ
……だが、正しいとはなんだろう…
“正しい”…それは人の価値観の問題
だと思うんだよな…





どうせなら私は自分の価値観を通そうと
思うんだ…








だから、私はヒカリには味方と言っているが、





私は誰の味方ではないぞ？








“叩けば埃が出る”って言葉は
知っているか？








どんな物でも細かく調べれば
欠点が出るって意味だ








“正義”、“正しい”にも欠点が有ると
私は推測する









そして、その“正しい”に
欠点が見えた時、私は面白くなると思うぞ









“正しい”を全て信じてはこの先
前には進めないだろう」









私は言葉を失った








団長は…いつもこんな事を…？








「エルヴィーン！」






声の主はヒカリだった






「おっと…では、明日は何もなければ良いな」









団長はニコッと私に
微笑んでヒカリの元へ行った









その時、私はずっとお兄ちゃんの
言葉が頭を過ぎっていた






“何も捨てることができない人には
何も変えることはできないだろう”








『“正しい”…か』







もしかして、団長は“正しい”を
捨てた事が有るのではないか…？







……そんな訳ないか…





私はずっと“正しい”を口ずさんで
部屋に戻った

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