“stxxx”ドSな6人と学園セイ活 5

5__♯32 あの日 ページ32

_過去_

すいside


『お姉ちゃんどうしたの?』



どんよりと重い雲が広がる今日


せっかくの私の誕生日


あまり嬉しい日ではなくなってしまったけど

やっぱり少し楽しみ



今年はお祝いして貰えるかな?



姉)あのね……


すいちゃんにしか頼めないお願いごとがあるの



あまりにも真剣な顔で言われるからこっちまで身構えちゃう



『…どうしたの???』




お姉ちゃんは私の手をぎゅっと握ったあと



硝子のように透き通った瞳で私を見つめた




そして薔薇のように美しい赤に染った唇を動かした



姉)死にたいんだ



『…え』



姉)このまま手術を受けても助かる可能性は殆どないんだよ


病気のせいで死ぬなんてやだ



『…で……も助かるかもしんないよ』



姉)無理だよ


お医者さんが前言ってたの

お母さんに

覚悟はしておいて下さいって




お医者さんも最初から





"助かるなんて思ってないんだよ"




まだ幼い私の心に現実が突き刺さる


あぁ…この光景見たことあるんじゃないか



『…やだよ


なんでそんなこと……』




姉)病気で死んじゃうくらいなら自分で死にたい


でもね、やっぱり怖いの



だから……すいちゃん



このコード……抜いて欲しい





いつも厳重に管理されて外れないようにされてるお姉ちゃんの命を繋ぐコード



いつの間にか私の手にはハサミが握られている



姉)すいちゃんが殺してくれるなら


これほどまでに嬉しいことはないよ



『……でも』



私もお姉ちゃんなら


大好きで大切なお姉ちゃんのお願いなら




聞いてあげなくちゃ………だめ?




姉)お願い



最後にわがまま聞いてよ




その言葉に何も言えなくなる


どれだけ私も願っただろう




わがまま言いたい




テレビは何チャンネルがいいとかじゃない



ただ当たり前の


一緒にご飯が食べたい

褒めて欲しい

一緒に寝たい

怒って欲しい

私のために悲しんで欲しい



そんな当たり前のことが欲しい




『ずるいよ……』

〈改変版〉

ハサミを握る手が震える


視線を横にそらすと目を固くつぶって怯えているお姉ちゃんが映る





『……やっぱりむりだよ…』



思わず想いを零す



その言葉を拾ったお姉ちゃんは少しおかしくなったかのように叫んだ



ただ黙ってそれを聞いている私までもおかしくなりそうで



ただ耳を塞いだ

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