あげない56 ページ13
扉に手をかける。
ガチャリと音を立ててそれは開いた。
「おじゃまします」
一応、挨拶する。
本当に誰もいないみたい。
棺桶のふたも開きっぱなしで中は空。
いつも借りている楽器を借りようか悩んだ。
でも、目についたのはいつもは置かれてなかったアコースティックギター。
吸い寄せられるようにそれに手を伸ばした。
＊
UNDEADが珍しく全員集まり、練習室を借りて、ハロウィンパーティーに向けての相談をしていたら、ほとんど日が暮れてしまっていた。
零は解散後、一人軽音部に忘れ物をしたのを思い出して戻っていた。
(アコースティックギターを試しに持ってきてはみていたが、結局だれも弾かないしのう)
軽音部のメンバーを見てみても、アコギというよりはエレキが好きそうなメンツが集まっている。
ハデというかロックなというか、ポップというか。
どのみちアコギ派ではなさそうだ。
まあ、結果はほぼほぼ目に見えていた。
(Aさんが弾くかもしれないと思ってはいたが、最近軽音部には来てないからのう)
ハロウィンパーティーで忙しくなるのは自分たちだけではないことは今までのイベントで零は承知済みである。
何より、プロデューサーが一番忙しいことが分かった。
スタッフも自分たちのためにと動き回っていて大変そうである。
(あの人の弾くアコースティックギターの音色も一度は聴いてみたかったが、)
「Aさんも負けないくらいには忙しいじゃろうなあ」
多分いろんなところに手伝いに行って、頼まれた曲を作って、普通に仕事もして。
彼女もプロデューサーに負けないくらい、いや、下手したらそれ以上忙しくなるのではないか。
ていうか、今までも学院に来て、仕事して、生徒の面倒見て、そろそろ体を壊すんじゃないか。
まあ、これを危惧しているのは零だけじゃないのだが。
そんなこんなで軽音部の部室に向かっている零。
近くまで来たとき、どこからともなく歌が聞こえてきた。
女性の声だ。
「嬢ちゃんの鼻歌かの……?」
軽音部の扉の目の前に立った時、その歌がここから聞こえてきていたことに気づいた。
「Aさん、かえ……?」
そっとドアをあける。
そこにはアコギの音色に合わせて、寂しそうに歌うAがいた。
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ゆうくんのストーカーのストーカー - す、すごいとこで止めるじゃねぇですか...面白いです！更新頑張ってください！無理の無い程度で良いので！ (2018年4月8日 6時) (
レス) id: c392d9b03c (このIDを非表示/違反報告)
凖様大好き - 面白かったです！続き待ってます。 頑張ってください！ (2017年8月4日 14時) (レス) id: 3dc5b5c194 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しらうお。 | 作成日時：2017年3月21日 0時
